翻刻
すれば.罪あるもの喰付.いさゝかもたがはず.それゆゑ
盗人といふものなしと記せり.
〇宗派
此国の僧.入唐して法を伝ゆる事をゆるさず.薩州
へ来りて法を学ぶ.衣は朱(かば)黄色(いろ)を着す.袈裟(けさ)
の外に一衣を服す.其制 背(ほい)心の如し.断俗と名
づく.帽子(もうす)は.清人(しんひと)の笠帽の如し.氊を以て作る
となり.宗旨(しうし)は.臨済宗(りんさいしう)と.真言(しんごん)のみなりと.中
山伝臣信録に見えたり.
〇葬式
国中の民は皆火葬にす.官宦(やくにん)かまたは有力(うとくにん)の家に
ては.先一たん生葬(そのまゝはぶ)り.時を踰(こえ)て舁(かき)出し火葬
にするもありとなり.又水葬にして.腐肉を去り.
白骨を甕(かめ)に入.石坎(いはあな)の中に蔵め置.法事を
行ふ時.啓(ひら)いて是を視となり.
〇棺槨并墳墓
棺は円く製す.其高さ三尺ばかり.死者の膝蓋(ひざがしら)
を湯にて洗ひ.足を屈(かゞ)め.趺(あくら)をかゝしめて棺
に納むるとなり.墓は山に穴を穿(うが)ちて埋め.
塁に石を以てす.貴家(れき〳〵)は其石を派に磨(みか)かせ