翻刻
石壇墓門(いーだんはかくち)を建るも有となり.
〇書法
書法は.日本の大橋流.玉置(たまき)流をもちゆ.片假名.
平假名は.国中の貴賤おしなべて通用す.薩
州藩(まか?)中へ往来の書翰.いづれも竪状(たてぢやう)捻状(ひねりしやう)に
て.一筆啓上の文躰を用ゆ.書する時卓に
倚(よら)ず.左手に紙を持.懸碗(ちからだめ?)にして書事日本
と同じ.
〇耕作
田地は.九月十月の間に耕(たがや)し種蒔(たねまき).十月十一月の
頃 緑(さ)秧(なへ)水を出れば.日和(ひより)を見合せ本田に移(うつ)し植(うゆ)
此節大雨 時(とき)に行はれ.雷声発し.蚯蚓(みゝつ)鳴て.気
候あたかも春の如し.夫より翌(あくる)年に至り.春耕(はるくさきり).
夏五月 獲収(かりおさ)む.《割書:其跡へすぐさま麦を蒔つけ.|年の内に苅納るとなり.》六月に至れば
大颶(おほかぜ)しば〳〵作(おこ)り.海雨(やうだち)横飛(よこしふき)し.果実(くだもの)皆 落(おつ)るに.
より.穫納(かりいれ)を早くせざれば.風損多し.かるがゆゑ.
に.此国中.秋 耕(たがへ)し冬 種蒔(たねまき)春耕.夏収む六月
より九月迄は.農業を事とせずとなり.農具は
大抵日本製を用ゆ.殊に鋤鍬(すきくは)なとは.琉球にて
作る物は鉄鈍(てつにぶ)くして用に堪ずとなり.高田は