翻刻
藤枝といふ所にて雪積もりける朝
夜のほとは草のまくらに月さえて朝たつ野辺につもるしら雪
松尾山
常盤なる色こそ見えね松尾山みねもふもとも雪のふれゝは
深草の里
ふる雪に鶉の床も埋れて冬そあわれは深草の里
祝の心を
波風も治る着か御代なれはみち遠からぬ日の本の里
去方へ返し
袖の雪あはれをかけしことのはに君かこゝろのほともしられん
附録《割書:二條| 》
〇鎮西八郎の事
此書すてに剞(き)劂(けつ)の功を終(おゆ)るころ去やごとなき
君より.琉球国の臣.紫金大夫.蔡温が撰する所
の.中山世譜を許借せさせたまひぬ.舜天王の
父の事.此書のはじめにも引る如く伝信録
には.舜天王は日本人皇の後裔.【囲み字で大里】按司朝公の男
子也.とあり.朝公は為朝なる事上に言へり.され
ども此文まさしく為朝と記さゞれば穏(おたやか)なら