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【右丁】
ふ又 中満(むねはり)の人は食へからす●気味苦温毒なし五臓を利し
身を軽(かろ)くし気をます常に食すれは中を通し人を
肥(こやし)健(すこやか)にし食を消し気を下し嗽(せき)をとゝめ消渇(かわきのやまい)心腹(むねはら)の冷(ひへ)
痛(いたみ)熱(ねつ)毒(どく)風(かせ)腫(はれ)乳癰(にうよう)《振り仮名:妒乳|とにう|こりち 》寒熱(かんねつ)をさる
胡蘿葡(こらほ)《割書:にんじん)》実生(みせう)なり種(たね)新旧(しんきう)とも蒔(まき)て生長(せいちやう)す昔(むかし)より
武州の産は根大く味も勝(まさ)るといふ苗(なへ)葉(は)茎(くき)根(ね)皆(みな)食すへし根
黄赤色(きあかいろ)なるをよしとす菜中(やさいのなか)の上品也 補益(ほゑき)す●気味甘辛微温毒
なし気を下し中を補ひ胸膈(きやうかく)腸胃(ちやうい)を利(り)し五臓を安(やすん)し人を健(すこやか)にす
【左丁】
蘿葡(らほく)《割書:おほね俗|大根と云》種類(しゆるい)多(おゝ)し大小 肥痩(ひそう)は是 一時(いちじ)種(うへ)蒔(まき)の力(ちから)と土地の
肥壌(ひぢやう)によれり又 種子(たね)も各(おの〳〵)別(わかち)あり江戸 近郊(きんごう)最(もつとも)美(びなる)者(もの)
多し 就中(うちにつき)根利間(ねりま)板橋(いたはし)浦和(うらわ)の産(さん)は昔(むかし)より勝(まさ)れりとす
西(かみかた)は摂州(せつしゆう)宮前(みやのまへ)尾(び)州 宮重(みやしげ)《割書:大蘆|萉》 河(か)州 守口(もりくち)《割書:水蘿|蔔》其(その)外 名産(めいさん)
異品(いひん)数(かぞふ)るに遑(いとま)あらず信(まこと)に群菜(くんさい)の最第一(さいたいいち)民用(みんやう)の大利(たいり)
益(やく)なり四時(しいじ)常(つね)にありといへども夏(なつ)生は秋冬の者に比(ひ)す
るに形状(なりかたち)色(いろ)味(あしわひ)ともに劣(おと)る●根(ね)味辛甘性温毒なし《振り仮名:炮煮|ほうちよ|あふりにる 》
して食すれは大に気(き)を下(くだ)し穀(こく)を消(せう)し中(うち)を和し痰(たん)