翻刻
さてまた。水(みづ)につけ。たび〳〵水をかゑ申候得ば
きざみたる大根ちゞみ申なり
㊁白髪(しらが)大根(たいこん)切方
一これは。人々よく知る事(こと)なり。しかし大こん有之
四季によりて。しらがに。きざみがたきことあり
是に秘伝(ひでん)あり。春(はる)にしらがを切るは。堀(ほり)入 ̄レ大根
なり。但(たゞ)しほり入れは。京。大坂なり。下(しも)にては
冬(ふゆ)よりの地生(ぢばへ)なり。東国(とうごく)北国(ほくこく)ともに。右に同じ
但(たゞ)しこれを。切るには豆腐(とうふ)の湯(ゆ)を冷(ひや)して。暫(しばら)く
つけ候て。一時(ひとゝき)ほどして。取上げ。上皮(うはかは)をはむきて
右大こんにたび〳〵打(うち)。うす刃(ば)にもぬりて。切申候也
大こんうすくきる切れる事 妙(めう)なり。扨(さて)水につけ。たび〳〵
水(みづ)を替(かへ)候へば。大根 光沢(つや)出(いで)て。うすく切れる事 奇(き)也
㊂ 細(ほそ)切 疑冬(やまぶき)大根切方
一これも右のごとくして。くちなしの汁(しる)をこしらへ置(をき)
右きざみたる大根を。あつき湯(ゆ)に漬(つけ)すぐに。いかきへ
上て。右くちなしの汁につけ申なり。但(ただ)し染汁(そめしる)の