翻刻
【右頁】
にんじんのあるときは。大こんは入不申。にんじんの
なき時に仕るが。料理の秘事(ひじ)なり
㊆さくら花(はな)大 根(こん)切方
一これも。右山ぶきのごとく。六つひだに切て。角丸(すみまる)
の所(ところ)に。少し細筋(ほそすじ)を入れ申候也【花びらの絵】此そめ汁は
紅(べに)にすこし青花(あをばな)を入て染(そめ)申なり
㊇ 椿(つばき)花大根仕方
一此切かたは【絵】此通りに剥(むき)申也。又 細(ほそ)大こん切様(きりよう)
【絵】此 通(とん)りなり。大根を二寸ほどに切て。上皮(うはかわ)を
【左頁】
むきて。末(すへ)の所は(此とをり。山にむき。下(した)の切り口
)此 通(とを)りに。すそほそく。むくなり。細【絵】すゑの
むきかけの所を。薄刃(うすば)にて。しのぎをかけ候て。水へ
漬(つけ)候へば。花(はな)。かたくなり申候。扨これも。むき候ときに
ぬる湯(ゆ)をつかひて。むき候へは。大 根(こん)。自由(じゆう)になり申候
台(うてな)は。大根の株(かぶ)を。上下(うへした)にして。つくり申候也。但(たゞ)し
蕗(ふき)のとうの。あるときは。ふきのとうよろしく候。又
つぼみも。ふきのとうよろしく候。匂(にほ)ひは。にんじん
か。黄染(きぞめ)の大こんをつかひ候也。これも中(なか)へ丸大根