翻刻
をすることも。また疎漏(やゝゐへはなし)なること多し。この
咽(のんど)の痛(いたみ)の最初(さいしよ)ならば。速(はや)く唐(から)の甘草(かんざう)
一味を。一 貼(てふ)三匁ほどにして。水一合二 勺(しやく)を
六勺に煎(せん)じ。二三 貼(てふ)も用れば。痛(いたみ)忽(たちまち)
愈(いゆ)ること。おどろかるゝが如(ごと)きことあり。
これを甘草湯(かんざうとう)といふ。もしやゝ腫(はれ)いで
たりと思ふものには。生乾(しやうぼし)の桔梗(きゝやう)一匁
五分加へて用べしこれを桔梗湯(きゝやうとう)と
いふ。これにて大かたはいゆるものなり。
もし腫(はれ)つのり膿(うみ)潰(ついえ)て。痛(いたみ)甚しく。
ものいふこともならずして悩(なやむ)ものには。
厳醋(きのつよきす)一合に。半夏(はんげ)の細末(さいまつ)五分。鶏卵(たまこ)
一ツの白みばかりをとりわけたるをいれ。
茶筌(ちやせん)にてかきたてゝ。よく混和(まじり)たる
を見て。火にのぼせ。一沸煮(ひとにたちに)たちた
らば火をおろし。絹(きぬ)にてこして。冷(ひやし)た
るまゝに少しづゝのむなり。これ古(いにしへ)の
苦酒湯(くしゆとう)を。予が意(こゝろ)を以て。今に用ひ
たるところの方なり。また醋(す)五勺 許(ばかり)に。
磠砂(どうしや)七八分を融化(とか)してしきりに含(ふくみ)て。
咽(のんど)にいたらしめてのち。呑下(のみくだし)たるもよし。
あるひは磠砂(どうしや)。枯礬(やきみやうばん)等分(とうぶん)を細末(さいまつ)して。竹(たけの)
管(くだ)にて咽(のんど)の中へ吹入るゝもよし。此三方は。
疱瘡(はうさう)などの。咽(のんど)に多く発(でき)て。声唖(こゑかれ)。飲食(たべもの)
のとほりがたきものにも。黴毒(かさけ)にて咽(のんど)の
腐蝕(くされ)たるものにも用て。効(しるし)を得(え)たること
まゝ多し。大 便(べん)秘結(ひけつ)するものには。涼膈散(りやうかくさん)。
又は調胃承気湯(てうゐじようきとう)などゝいふ薬を用る
ことあり。もし病勢(びやうせい)劇(はげし)く。熱(ねつ)燬(やく)がごとく。
咽(のんど)の内外 腫痛(はれいたみ)て。堪(たへ)がたきものは。蜞(ひる)
多くとりて。項(うなじ)より咽(のんど)のまはりへ。四五十も
つけて血を吸(すは)すべし。また傷寒(しようかん)にて。
下利(くだり)甚(はなはだ)しく。脉(みやく)も微(かすか)にして絶(たえ)だえ
になりて。咽(のんど)の痛(いたみ)甚しきものは。通脉(つうみやく)四
逆湯(ぎやくとう)といふて。参附(じんふ)の大 剤(ざい)を用て。救(すくふ)
ことを得(うる)ものあり。その證(しやう)にも。咽(のんど)の
壊(くされ)燗(たゞれ)て。飲食(たべもの)の下降(さがり)かぬるやうに
なりたるものも。まゝあるもの也。もし
現代語訳
を行うことも、また粗雑で不十分なことが多い。この咽の痛みが初期であれば、速やかに唐の甘草一味を、一服三匁ほどにして、水一合二勺を六勺まで煎じ、二三服も用いれば、痛みがたちまち治ることは、驚くようなことがある。これを甘草湯という。もしやや腫れ上がったと思うものには、生干しの桔梗一匁五分を加えて用いるべきである。これを桔梗湯という。これで大抵は治るものである。
もし腫れが募って膿が潰れて、痛みが激しく、ものを言うこともできずに苦しむものには、強い酢一合に、半夏の細末五分、鶏卵一つの白身だけを取り分けたものを入れ、茶筌でかき立てて、よく混合したのを見て、火にかけ、一度沸騰したら火を下ろし、絹で濾して、冷ましたまま少しずつ飲むのである。これは古の苦酒湯を、私の考えをもって、今に用いているところの処方である。また酢五勺ばかりに、
硼砂七八分を溶かしてしきりに含んで、咽に行き渡らせた後、飲み下すのもよい。あるいは硼砂、枯礬等分を細末にして、竹管で咽の中へ吹き入れるのもよい。この三方は、疱瘡などが咽に多く発生して、声が嗄れ、飲食物の通りが悪いものにも、梅毒で咽が腐蝕したものにも用いて、効果を得ることがしばしば多い。大便が秘結するものには、涼膈散、又は調胃承気湯などという薬を用いることがある。もし病勢が激しく、熱が焼くようで、咽の内外が腫れ痛んで、堪え難いものは、蛭を多く取って、項から咽の周りへ、四五十匹もつけて血を吸わせるべきである。また傷寒で、下痢が甚だしく、脈も微かになって途切れがちになって、咽の痛みが激しいものは、通脈四逆湯といって、人参・附子の大量処方を用いて、救うことができるものがある。その症状にも、咽が壊れ爛れて、飲食物が下らなくなったものも、しばしばあるものである。もし
英語訳
will also often be crude and inadequate. If this throat pain is in its initial stage, quickly use Chinese licorice as a single ingredient, about 3 monme per dose, decocting 1 gō 2 shaku of water down to 6 shaku, and using 2-3 doses will often heal the pain immediately in a surprising manner. This is called Kanzo-to (Licorice Decoction). If one thinks it has swollen up somewhat, add 1 monme 5 bu of dried platycodon and use it. This is called Kikyo-to (Platycodon Decoction). Most cases will heal with this.
If the swelling increases and pus ruptures, with severe pain making it impossible to speak and causing great suffering, take 1 gō of strong vinegar, add 5 bu of finely powdered pinellia and the white of one egg separated out, whip with a tea whisk until well mixed, put over fire, and when it boils once, remove from heat, strain through silk, and drink little by little while cool. This is a prescription where I have applied my own ideas to adapt the ancient Kushu-to (Bitter Wine Decoction) for present use. Also, dissolving 7-8 bu of borax in about 5 shaku of vinegar, frequently holding it in the mouth to reach the throat, then swallowing is also good. Or making equal parts borax and calcined alum into fine powder and blowing it into the throat through a bamboo tube is also good. These three methods are often effective when used for smallpox eruptions that frequently appear in the throat causing hoarseness and difficulty swallowing food, as well as for throats corroded by syphilis. For those with constipation, medicines called Ryokaku-san (Cool Diaphragm Powder) or Choi-joki-to (Regulate Stomach and Order Qi Decoction) are sometimes used. If the disease is severe with burning heat and unbearable swelling and pain inside and outside the throat, take many leeches and attach 40-50 of them from the nape to around the throat to suck blood. Also, in typhoid fever with severe diarrhea, pulse becoming faint and intermittent, and severe throat pain, using Tsumyaku-shigyaku-to (Unblock Pulse Four Counterflows Decoction) with large doses of ginseng and aconite can sometimes provide rescue. In such conditions, there are also often cases where the throat becomes corrupted and ulcerated so that food and drink cannot descend. If