翻刻!江戸の医療と養生

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救急撮要 - 翻刻

救急撮要 - ページ 57

ページ: 57

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することも。すべて犬毒と同じことなれば。 見あはせてこれを療(れう)ずべし。蝮蛇(まむし)に咬(かま) れたるを治するに。別に一法あり。これは 山中などにて。猟師(れうし)などのすることなり ときけり。その法は。咬(かま)れたるところを。 煙管(きせる)の大頭(ひざら)を以ておほひ。力を極(きはめ)て おしつけて手を放(はな)たず。しばらくありて。 肉(にく)腫(はれ)あがりて。火皿の中ヘ丸く満(みち)たるを 見て。その処(ところ)をたちわつて。血を搾(しぼり)出(いだ)し てのち。鳥銃(てつぽう)の火薬(くわやく)を喫(かま)れたる創(きず)口へ おしこみ。丸く成たる肉をとりまき。 高(たか)く填(うづめ)て。それに火をつけ燃(もや)すといへ り。此法は瘢処(きず)を断截(たちきる)にも便宜(べんぎ)にて 行(おこなひ)やすければ。かくしてのちに雄黄(をわう)。磠(どう) 砂(しや)などを貼(つけ)たるがよし。山にては血を搾(しぼり) たる跡(あと)を。小 便(べん)にてあらひてのちに火 薬(やく)をうづめて燃(もやす)といへり。これも又よし。 また霜柿(ころがき)串柿(くしがき)の類(るゐ)の中の柔(やはらか)なる ところを。醋(す)に煮(に)て多くつけ残(のこり)を 喫(くふ)か。又は煎じて用るもよし。または 瘢(きず)を柿渋(かきしぶ)にてあらふもよしけ【けは白抜文字】煙(けむり)に むせて悶絶(もんぜつ)したるには。早く嚏薬(くさめくすり)を 用て。くさめをとり。萊菔(だいこん)のしぼり 汁を多く服(のむ)べし。そね【れヵ】にて解(げ)しかぬる には。吐薬(はきぐすり)を用ふれば。黒(くろ)く汚液(くさきしる)を 吐(はき)て愈(いゆ)るなり。又 毒煙(どくえん)にあたりたる には。桃仁(たうにん)を研(すり)たるを。湯にてかきたてゝ 服(のむ)べしといふは。油の毒を抱摂(つゝむ)所の 効なり。すべて失火(てあやまち)の煙(けふり)にあれ。毒煙(どくえん) にあれ。悶絶(もんぜつ)して息(いき)出ずば雷震死(らいにうたれたる) にいふごとく。まづ息(いき)のかよふやうにして のちに。萊菔汁(だいこんのしぼりしる)をあたふべし。さなけ れば咽(のんど)に降(さがり)がたければなり。また軽(かろ)き 火瘡(やけど)には。萊菔汁(だいこんのしぼりしる)を塗(ぬり)てよし▲煙(けむり)に むせたらば。はやく地(ち)にむかひて息(いき)を 呵(ふき)かけよといふは。すべて烟(けふり)にまかれ たる時。地(ち)に這(はへ)ば。命(いのち)をおとすまでに いたらず。煙(けふり)は上へのほるもの故(ゆゑ)。失火(てあやまち)

現代語訳

することも、すべて犬毒と同じことであるから、見合わせてこれを治療すべきである。蝮蛇に咬まれた場合を治すのに、別に一つの方法がある。これは山中などで猟師などが行うことだと聞いている。その方法は、咬まれたところを煙管の火皿で覆い、力を極めて押しつけて手を離さず、しばらくして肉が腫れ上がって火皿の中へ丸く満ちたのを見て、その部分を切り分けて血を絞り出した後、鳥銃の火薬を咬まれた傷口へ押し込み、丸くなった肉を取り巻いて高く詰めて、それに火をつけて燃やすという。この方法は患部を切除するのにも便利で行いやすいので、こうした後に雄黄や硫酸銅などを貼るのがよい。山では血を絞った跡を小便で洗った後に火薬を詰めて燃やすという。これもまたよい。 また干し柿や串柿の類の柔らかい部分を酢で煮て多く食べ、残りを食べるか、または煎じて用いるのもよい。または傷を柿渋で洗うのもよい。 煙にむせて気絶した場合には、早くくしゃみ薬を用いてくしゃみを取り、大根の絞り汁を多く服用すべきである。それでも回復しない場合には、吐き薬を用いれば黒く汚い液を吐いて治るのである。また毒煙にあたった場合には、桃仁をすったものを湯でかき立てて服用すべきだというのは、油の毒を包み込む効果である。すべて失火の煙であれ毒煙であれ、気絶して息が出なければ、雷に打たれた場合に述べたように、まず息が通うようにしてから大根の絞り汁を与えるべきである。そうでなければ咽喉に下りにくいからである。また軽い火傷には大根の絞り汁を塗ってよい。 ▲煙にむせたならば、早く地面に向かって息を吹きかけよというのは、すべて煙に巻かれた時、地面に這えば命を落とすまでには至らない。煙は上へ昇るものだから、失火の際

英語訳

All of these are the same as for dog poison, so they should be compared and treated accordingly. For treating mamushi (pit viper) bites, there is another method. This is said to be what hunters do in the mountains. The method is to cover the bitten area with the bowl of a tobacco pipe, press down with all one's strength without releasing the hand, and after a while, when the flesh swells up and fills the pipe bowl in a round shape, cut that part and squeeze out the blood. Then push gunpowder from a fowling piece into the bite wound, surround the rounded flesh, pack it high, and set fire to it to burn. This method is convenient and easy to perform for cutting out the affected area, so after doing this, it is good to apply realgar, copper sulfate, and such. In the mountains, they say to wash the area where blood was squeezed with urine, then pack it with gunpowder and burn it. This is also good. Also, taking the soft parts of dried persimmons or skewered persimmons, boiling them in vinegar and eating much of it, eating the remainder, or decocting and using it is also good. Or washing the wound with persimmon tannin is also good. For those who are suffocated by smoke and lose consciousness, quickly use sneezing medicine to induce sneezing, and have them take much radish juice. If they still do not recover, using emetic medicine will make them vomit black, foul liquid and be cured. Also, for those affected by poisonous smoke, grinding peach kernels and stirring them in hot water to drink is said to have the effect of encapsulating oil poison. Whether it be smoke from accidental fires or poisonous smoke, if one loses consciousness and cannot breathe, as mentioned for lightning strikes, first ensure breathing is restored, then give radish juice. Otherwise, it will be difficult for it to go down the throat. For minor burns, applying radish juice is good. ▲If suffocated by smoke, quickly blow breath toward the ground - this is because when engulfed by smoke, if one crawls on the ground, it will not lead to losing one's life. Since smoke rises upward, in case of accidental fires