翻刻!江戸の医療と養生

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救急撮要 - 翻刻

救急撮要 - ページ 71

ページ: 71

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用るかすべし。前のく【くの横に長四角】の部(ぶ)霍乱(くわくらん)の 條(でふ)を見あはせて治すべき也▲呃逆(しやくり)は。 冷(ひや)水を息(いき)をつかず。一 盌(わん)つゞけてのみほ すべし。また紙條(こより)を鼻(はな)へさし。嚏(くさめ)をと りてとまるものあり昼夜(ちうや)。出て止(とまら)ざ るは。霜柿(とろがき)【「ころがき」ヵ】又は串柿(くしがき)の中の。柔(やはらか)なる ところを喫(くひ)。外の堅(かた)き所に。生姜を 加へ煎じて服(もちふ)るがよし。柿蒂(かきのほそ)を薬(きぐす) 舗(りや)にて賣【買】なり。それを二匁に。丁子五 六分づゝ加へて煎じ。生姜の搾(しぼり)汁を 加へ用たるもよし。傷寒(しようかん)にて呃逆(しやくり)の 甚しきは。下すと。参附(しんふ)を用ふるの 差別(しやべつ)あり。俗人(しらうと)ににはかにはいひとき がたきことなれば。此(こゝ)に論(いは)ざる也。▲舌(した)を 跌仆(つまづき)たる激動(はづみ)に。自咬(みづからかみ)て創(きず)つけ。血出 て止ざることあり。速(すみやか)に水をふくみて。 いくたびとなくはき出して。洗が ごとくすれば。血はおほかた止るもの也。 その後に蒲黄(ほわう)の末。または枯礬(やきみやうばん)の類(るゐ) をふりかけおくべし。粉錫(とうのつち)も又よし ▲舌頭(したのさき)を誤(あやまつ)て噛断(かみきる)ことあり。断(きれ)たるさき 続(つゞき)てあらば。水を含(ふくみ)てたび〳〵吐出すか。 醋(す)を含(ふくみ)てたび〳〵吐出し。早く血の 止るやうにして後。鶏卵の中の薄皮(うすかは) をとりて。舌頭(したのさき)をよく包(つゝみ)て。乱髪(かみのけ)を 焼(やき)て細末にしたるを蜜(みつ)にてねり。其 上へぬるべし。騏驎血(きりんけつ)を細末してぬり たる。もつともよし。二三日にておほく は愈(いゆ)るものなれば。其間は成丈もの いふべからず堅(かた)きものはくらふべからず。 ▲舌よりなにとなく血の出ることあ り。これは多くは。頭瘡などの内 攻(こう) したるか。又は頭(かしら)胸(むね)などに。病の催(もふし) ありておこることにて。忽(ゆるかせ)にならぬこと なり。はやく巧者(こうしや)の毉士(いし)に任(まかせ)て治 術(じゆつ)をうくべし▲舌(した)に瘡(できもの)を生ずる證(しよう) に。かろき重(おも)きの差別(しやべつ)ありて。治法 も又さま〴〵にわかれたれど。其中に

現代語訳

用いるかすべきである。前の霍乱の部の条を見合わせて治すべきである。 ▲吃逆(しゃっくり)は、冷水を息をつかず、一椀続けて飲み干すべきである。また紙撚りを鼻へ差し、くしゃみを取って止まるものがある。昼夜出て止まらない場合は、干し柿または串柿の中の、柔らかなところを食べ、外の堅いところに生姜を加え煎じて服用するがよい。柿蒂を薬舗にて買い、それを二匁に丁子五六分ずつ加えて煎じ、生姜の搾り汁を加え用いたるもよい。傷寒にて吃逆の甚だしきは、下剤を用いるか参附を用いるかの区別があり、素人には急には言い聞かせ難いことなれば、ここに論じない。 ▲舌を、つまずいた弾みに自ら咬んで傷つけ、血が出て止まらないことがある。速やかに水を含んで、幾度となく吐き出して、洗うがごとくすれば、血は大方止まるものである。その後に蒲黄の末、または枯礬の類をふりかけておくべし。胡粉もまたよい。 ▲舌先を誤って噛み切ることがある。切れた先が続いてあらば、水を含んで度々吐き出すか、酢を含んで度々吐き出し、早く血の止まるようにして後、鶏卵の中の薄皮を取って、舌先をよく包んで、乱髪を焼いて細末にしたるを蜜にて練り、その上へ塗るべし。騏驎血を細末して塗ったる、最もよし。二三日にて多くは癒えるものなれば、その間はなるべく物言うべからず、堅きものは食らうべからず。 ▲舌よりなんとなく血の出ることがある。これは多くは、頭瘡などの内攻したるか、または頭胸などに病の催しありて起こることにて、等閑にならぬことなり。早く巧者の医師に任せて治術を受くべし。 ▲舌に瘡を生ずる証に、軽き重きの区別ありて、治法もまた様々に分かれたれど、その中に