← 前のページ
ページ 20 / 164
次のページ →
翻刻
人の。なされし事(こと)なり
鳥(とり)醤(ひしほ)の仕方(しかた)
一/鶁(むく)か。/鶉(うつら)か。/雲雀(ひはり)か。右五十を粕(さけのかす)に塩(しほ)を合せ。是は喰(くひ)
加(か)減にして。よく交(ませ)て。廿日ほと漬(さけ)をき。餅米(もちこめの)白米(はくまい)
五合。かげ色(いろ)に炒(いり)て粉(こ)にし。一/麹(かうじ)三合。前段(ぜんだん)のごとく
にして。蒜(にんにく)。黄蓮(わうれん)。陳皮(ちんひ)。かけ目(め)。壱匁つゝ入れ。是も前段(せんたん)の
ことく。右/鳥(とり)を。粕(かす)より取出(とりだ)し。よく紙(かみ)にて。ふき又た
たきて。古酒(こしゆ)をいれ。見(み)合せにねりて。又十日ほど。壺(つほ)
に入れて。出(いだ)すへし。酒(さけ)のさかな。手取(てとり)さかなに。宜(よろ)し
鳥(とり)の法論(ほろ)味噌(みそ)の仕方(しかた)
一/寒(かん)の中(うち)に。雉(きじ)か。雀(すゝめ)か鴫(しき)かを。ほそくつくりて。骨(ほね)
は。よくたゝきて。白味噌(しろみそ)をよくすり。酒(さけ)と。水とで
ゆるくのばし。右/鳥(とり)と味噌(みそ)とを。等分(とうふん)に合せ。鍋(なへ)に入れ。
炭火(すみひ)にて。ゆる〳〵。そろ〳〵と。かきまわし。煎(たく)へし○
わり山椒(さんせう)○黒胡麻(くろこま)。実(み)くるみを入て。二時(ふたとき)か三時
ほど。そろ〳〵と、ごけぬやうに。煎(たく)べし其後ぼろ〳〵
となり。大かた。汁気(しるけ)なきやうに。なる時に。取上(とりあけ)て
よくさまし。壺(つほ)へ入れ置(をけ)ば。翌年(よくねん)までも、風味(ふうみ)損(そこ)ねす。
現代語訳
人のなされしことなり
鳥醤の仕方
一、椋鳥か鶉か雲雀か、右五十羽を酒粕に塩を合わせ、これは食べ加減にして、よく混ぜて、二十日ほど漬けておき、餅米の白米五合を陰干し色に炒って粉にし、一、麹三合、前段のごとくにして、にんにく、黄連、陳皮、欠け目、一匁ずつ入れ、これも前段のごとく、右の鳥を粕より取り出し、よく紙で拭き、また叩いて、古酒を入れ、見合わせに練って、また十日ほど壺に入れて出すべし。酒の肴、手取り肴によろし。
鳥の法論味噌の仕方
一、寒の内に雉か雀か鴫かを細く作りて、骨はよく叩いて、白味噌をよくすり、酒と水でゆるく延ばし、右の鳥と味噌とを等分に合わせ、鍋に入れ、炭火でゆるゆる、そろそろとかき回し、煮るべし。割り山椒、黒胡麻、実胡桃を入れて、二時か三時ほど、そろそろと、焦げぬように煮るべし。その後ぼろぼろとなり、大方汁気なきようになる時に取り上げて、よく冷まし、壺へ入れ置けば、翌年まで風味損ねず。