翻刻
で。おかしい事がござりやしたつけ《箱:喜の》狂言といへば
宗十郎松が六けんのおさくをきれて。ふる石のとよ
くらへこつていくそうさ。おかしいじやあねへかネヱ《箱:ゑん》
あいつが中洲(なかづ)てめつかちの地ごくをかつたときほど。
おしいことはなかつた《箱:おちせ》モシてへぶきなつくさいよ。さん
やそこじやあねへか《箱:ゑん》ほんに芝居のゆきがらう
そくへふつたといふにほいた。それおしやうぬしの
はをりだそふだ《箱:しあん》さあ〳〵こいツア大さはぎだ
かゝあにしかられることを仕(し)だした《箱:喜の》もちつとの事で
もろせをたのみにいく所だ《箱:しあん》しやれ所ではネヱ
はな《箱:ゑん》やけぼこりでいゝのさ《割書:此間女房の手りやうり|にて。だまごのあつやきのわさ》
《割書:びじやうゆ。古なすにもり口のからや梅ざけ|のあんばい。ゑん太郎しあんへ茶かけをいだす》《箱:ゑん》なるほどおしや
うはよくくふぞ。ぬす人には極つた《箱:しあん》もし松ばや
じやあ小梅の青いのを出すノウ《箱:喜の》あれはつけ
めさ。扇屋のせんべいの。丁子やのてうあしの
ぜん。四ツ目屋のかすていら。竹屋の水貝(みづがい)