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【右丁】
する事更に叶はざる者也されば一筋のきづな一人のてき
なるにをひてはかたむと思ふ頼みも有べしといへ共一かた
ならぬおんてきのきづななれは更にのかれ得かたき者
也其故はしやうがいの間は様ゝのうき事にからめらるゝが
ゆへに心のじゆうを得ざる者也ある人 生得(しやうとく)物思ひふかきが
故(ゆへ)に萬事につゐて正直((情識)【右に小文字】に心をなやます人もあり或人は
せうきたんさいなるがゆへに小事をも大事とみて常(つね)に心を
ついやすもあり人によて【注】はあまりにうつふんはなはだしく
萬事につゐてちうやうをまもる事叶はざるもあり是わき
て女人の上に見えたりかくしやのいわく女はひとへにちうや
【注 「もって」の促音「っ」の無表記】
【左丁】
うをしらずしてしうしんはなはたしきがゆへに人のこのみ
きらふ事も又 至(いた)つてきはまれりとかくのごとく様ゝのきづ
なにからめらるゝやからはつたなきやつこの進退にあらずや
誠に一筋のきづなにつなかれ一人のやつこなるさへあはれ
なるへき処におほくの主人のやつこなりいましめからめ
らるゝにをひてはいかはかり浅ましからんと思ふやそれ人の
位と云はちゑと心のじゆうをたもつにあり然るにしやらくの
のぞみを以ては道理の光りをくらまし人のじゆうをうば
われちくるいとひとしくなりはつる事誠にくちおしき事
にあらずやこれらの道理あきらかなれは是非(ぜひ)のしあんに