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【右丁】
天狗は其身のはたもとの者よりも進退する事叶わぬ者
になをつよくしやうげをなす事ゑきありと思へは也てきの
ちまたになからふる間はつねにかつちうをたいして其かく
ごすべき事せんよう也もし時として汝があにまにきずを
付る事ありといふともあひかまひてかぶとをぬぎかうさん
する事なかれたゞぐんちうの名をあげん事を思ひて疵(きず)
をかうむるゆうしやのなをたけくいさむがごとくするにをひて
はけつく其きずを以てあたらしくすゝむ力をもち汝をお
ひ来(きた)る者を又おひかへすへし若又二たび疵(きず)をかうむると云
ともかつて心をよはらす事なかれいくさのならひとし□【て?】
【左丁】
ゆうしやのきずをかうむらずといふ例(れい)【左に「ためし」の振り仮名】有べからずたゞてき□【に?】
かうさんせざる事を本意とするか故にきずをかうむるとて
まけたるにあらずたゝきずをかうむりて後力をよはらしたて
ほこを捨(すつ)る者をまくるとする者也 若(もし)きすをうくるにをひては
□【す?】なはちれうぢせよ其故はおほくの疵よりも一ツの疵は治(ぢ)
しやすく古き疵よりもあたらしき疵はなをす事 安(やす)し
又天狗のしやうけ来らん時用心せざる計にてたつしたりと
おもふ事なかれかへつて善をつとむるたよりとせよ然らは
Ⅾ(天)のがらさをかうむりさまたげはいよ〳〵善のもとめとなり
萬事汝が徳となるべしぼうしよくゐんらんのみたりなる