翻刻
○夏(なつ)のこゞり 此仕やうは醤油(しやうゆ)だしのかげんをよくして水七合に
かんてん半本(はんぼん)入てよる煮(にる)、尤用ゆへきもの何になり
とも入 煮(に)る。よき時分(じふん)に鉢(はち)へうつし直(すぐ)に水にひやす也
○同つらゝ 此仕やうは、何にても、葛をふりかけて湯(ゆ)がくなり
其品によりを?りわけなます等(とう)に用てよし、尤
こゞり、つらゝ、いづれも精進魚類ともによし
○紅(へに)ふのやき 是は茶巾餅(ちやきんもち)のあんの入らさるを求(もと)めてさしみにつかふべし
○湯波(ゆは)あんへい 此仕やうは生(なま)ゆばときぬこしたうふの水けを去(さ)り
すり鉢(はち)にてよくすりあはせ葛少し酒しほ少し
入てよき程にのばし茶(ちや)わんとりて湯煮(ゆに)するか
蒸(む)して茶わんもの菓子椀(かしわん)やうのものにつかふ尤あ
しらい何にても見合(みあw)せ扨又右之仕(し)やうにてかやく
を入れむして出(いだ)すもよし
現代語訳
○夏のこごり この仕方は醤油出汁の加減をよくして水七合に
寒天半本入れてよく煮る、尤も用いるべきもの何になり
とも入れ煮る。よき時分に鉢へ移し直ぐに水で冷やす也
○同つらら この仕方は、何にても、葛をふりかけて湯がくなり
その品によりを選り分けなます等に用いてよし、尤も
こごり、つらら、いずれも精進魚類ともによし
○紅麩の焼き これは茶巾餅の餡の入らざるを求めて刺身に使うべし
○湯波あんぺい この仕方は生湯波と絹漉し豆腐の水気を去り
擂り鉢にてよくすり合わせ葛少し酒塩少し
入れてよき程に延ばし茶碗取りて湯煮するか
蒸して茶碗もの菓子椀様のものに使う尤も
あしらい何にても見合わせ さて又右の仕方にて薬味
を入れ蒸して出すもよし