翻刻
△ 烏巴麻(うはま)《割書:八重山の|未申に有》△ 波渡間(はどま)《割書:うはまに|ならぶ》△ 由那姑呢(よなくに)《割書:はどまに||ならぶ》
△ 姑弥(くミ)《割書:やえ山の|西に有》△ 夛計富(たけとミ)《割書:くミの東にならべり此しまにびたん|といふ魚ありかたち圖のごとし》
土人傳(どぢんつた)へいふ。天孫氏の仕女。
びんたらといふもの。海に入て
魚となる。これなりと。又いふ
頭痛(づつう)をわづらふもの。此
魚のかたちをゑがき。家の
うちにはりけりおけば。忽ちにいえて
後うれひなしとぞ。およそ此島にすむ人。 頭痛(づつう)
やまひといふことなし
〇 山海經(せんがいきやう)《割書:巻の一》 曰(いはく)。 柢山(ていざんに) 有_レ魚(うをあり) 其状(そのかたち)如(うしの)_レ牛(ごとし)又(また)有(つばさ)_レ翼(あり)。
其名(そのなを)曰鯥(りくといふ)冬(ふゆに)死而(しして)夏生(なつうまる)食之(これをくへハ)無(しや)_二腫疾(しつなし)_一。とあるものと 似(に)
たれども。 是(これ)ハ 冬(ふゆ)も 死(し)するものにあらず。
△ 久里嶋(くろしま)《割書:八重山の|いぬいに在り》△ 波照間(はてるま)《割書:たけとミに|ならべり》△ 新城(あらくすく)《割書:ゆなくにと|くミの間に》
ありて二島也〇 以上(いぜう)八箇(やつ)の 島(しま)を 土人(くにびと)ハなべて 八重山(やえやま)といふ
△ 姑巴汛麻(こはじま)《割書:是ハ前の三十六嶋の外|なり中山の正西にあたる》〇 高山夛(かうざんおほ)し。名産數品(めいさんすひん)
あり。 本朝第一(ほんてうだいいち)の 現留石(げんりうせき)と
いふ 硯石(すゞりいし)ハ 此島(このしま)にありとぞ。
〇 右琉球国属島(ミぎりうきうこくえだじま)を 加(くは)へて。およそ 高(たか)十二万七千石
餘ありと云。
現代語訳
△ 鳩間(うはま)(八重山の南西にある)
△ 波照間(はどま)(鳩間に並ぶ)
△ 与那国(よなくに)(波照間に並ぶ)
△ 来間(くみ)(八重山の西にある)
△ 竹富(たけとみ)(来間の東に並んでいる。この島にびたんという魚がいて、形は図の通りである)
土地の人の伝承によると、天孫氏の仕女でびんたらという者が海に入って魚となったものがこれだという。また、頭痛を患う者がこの魚の形を描いて家の中に貼っておけば、たちまち治って後の心配もないという。おおよそこの島に住む人に頭痛という病気はない。
○『山海経』巻一に曰く「柢山に魚あり、その形は牛のごとく、また翼あり。その名を鯥(りく)という。冬に死して夏に生まれ、これを食えば腫れ物の病気がない」とあるものと似ているが、これは冬も死ぬものではない。
△ 黒島(くろしま)(八重山の北西にある)
△ 波照間(はてるま)(竹富に並んでいる)
△ 新城(あらぐすく)(与那国と来間の間にあって二つの島である)
○以上八つの島を土地の人はすべて八重山という。
△ 小浜島(こはじま)(これは前の三十六島の外である。中山の真西にあたる)
○高い山が多い。名産が数品ある。本朝第一の硯石という硯石はこの島にあるという。
○右の琉球国の属島を加えて、およそ高十二万七千石余りあるという。