琉球・沖縄の世界を翻刻する

コレクション: ハワイ大学所蔵 阪巻・宝玲文庫 vol. 1

琉球奇譚 - 翻刻

琉球奇譚 - ページ 25

ページ: 25

翻刻

〇天を  [うてい]   〇地を [つんぢ]  〇雨を[をミ] 〇雷を  [おどる]   〇風を [ふきご]  〇吹(ふ)くを[はる] 〇僧を  [まるどたま] 〇美女を [とろこぼう] 〇美男を [とろこせい] 〇手紙を [つんミり] 〇重宝を [うびなや]  〇 雷盆(スリバチ)を [づるばん] 〇 雷木(スリコギ)を [ずりんぎ] 〇 巫女(ミこ)を [たへぢよ] 〇 祈(いの)るといふを [きめてすり] 〇 頼(たの)むを [どんだく] 〇よいことを [うい]  〇 悪(あし)き事を [ごぶり] 〇大を[でい] 〇小を  [ちんつ]    〇 嬉(うれ)しきを [うい〳〵]  〇なほ多く。琉球にて[ほつとろちい]といふ   俗語あり。此方にて 恐(おそろ)しいといふやうに 聞(きこ)ゆ   るゆゑ 然(さ)る 事(こと)と思ひたるに。 甚(はなはだ)よろこぶ   事なりとぞ。かくの如くの 違(たが)ひ 多(おほ)かるべし   こゝに 載(のす)るものハ。 聞(きゝ)たるまゝにかいつけて   好事(こうず)の 覧(らん)に 備(そな)ふるのミ。

現代語訳

〇天を「うてい」   〇地を「つんぢ」  〇雨を「をミ」 〇雷を「おどる」   〇風を「ふきご」  〇吹くを「はる」 〇僧を「まるどたま」 〇美女を「とろこぼう」 〇美男を「とろこせい」 〇手紙を「つんミり」 〇重宝を「うびなや」  〇すり鉢を「づるばん」 〇すりこ木を「ずりんぎ」 〇巫女を「たへぢよ」 〇祈るということを「きめてすり」 〇頼むを「どんだく」 〇良いことを「うい」  〇悪いことを「ごぶり」 〇大を「でい」 〇小を「ちんつ」   〇嬉しいを「うい〳〵」 〇なお多く、琉球にて「ほつとろちい」という俗語がある。こちら(日本)にて「恐ろしい」というように聞こえるゆえ、そのような事と思ったのに、甚だ喜ぶことなりとぞ。このような違いが多くあるであろう。ここに載せるものは、聞いたままに書きつけて好事家の観覧に備えるのみである。

英語訳

〇Heaven: "utei"   〇Earth: "tsunji"  〇Rain: "womi" 〇Thunder: "odoru"  〇Wind: "fukigo"  〇To blow: "haru" 〇Monk: "marudotama" 〇Beautiful woman: "torokobo" 〇Handsome man: "torokosei" 〇Letter: "tsunmiri" 〇Precious item: "ubinaya"  〇Mortar (grinding bowl): "dzuruban" 〇Pestle (grinding stick): "zuringi" 〇Shrine maiden: "tahejyo" 〇To pray: "kimete-suri" 〇To request/rely on: "dondaku" 〇Good thing: "ui"  〇Bad thing: "goburi" 〇Large: "dei" 〇Small: "chintsu"   〇Happy/joyful: "ui-ui" 〇There are many more. In Ryukyu there is a colloquial expression "hottorichii." Because it sounds like "osoroshii" (frightening/terrible) here in Japan, I thought it meant something like that, but it actually means to be extremely joyful. There must be many such differences like this. What I record here is merely written down as I heard it, to provide material for the viewing of those interested in such matters.