翻刻
【右丁】
より遣はされたる 上使の筆記より諸家
の家人或ひは陣屋を仮て働きたる諸浪人
の覚書或ひは家々の系譜等を集て尤その
証とすへきものをとれり
一武家閑談武辺咄落穂集老士語録等の漫録
雑書の中島原の事件に渉るものあれは尽
く抄録してこれを収む
一耶蘇天誅記以下既に編修を経たるものも
其事実証とすへくして諸家の記録筆記に
もらせるものは往々取て其闕を補ふもの
【左丁】
あり
一切支丹の字はしめ吉利支丹の字を用ゆ後
御諱を避たてまつりて切支丹の字に改む
故に採用する所の書当時筆記のまゝにし
て改書せさるものあり伝写の時追改する
ものあり只原本の文字に随ひてこれをあ
らためす又すべて採録する所の書元文真
行仮字を以てしるしたるは尽く平仮字に
改書し漢字を以てしるしたるはこれをあ
らためす
現代語訳
【右丁】
より派遣された上使の筆記から、諸家の家臣あるいは陣屋を借りて働いた諸浪人の覚書、あるいは各家の系譜等を集めて、最もその証拠とすべきものを取り入れた。
一、『武家閑談』『武辺咄』『落穂集』『老士語録』等の漫録・雑書の中で島原の事件に関わるものがあれば、すべて抄録してこれを収録する。
一、『耶蘇天誅記』以下、既に編修を経たものも、その事実を証拠とすべきで、諸家の記録・筆記に漏れているものは、往々にして取り入れてその欠けた部分を補うものが
【左丁】
ある。
一、切支丹の字は、初めは吉利支丹の字を用いていたが、後に御諱を避け奉って切支丹の字に改めた。故に採用するところの書物で、当時の筆記のままにして改書しないものがあり、伝写の時に追って改めるものがある。ただし原本の文字に従ってこれを改めない。また、すべて採録するところの書物で、元の文が真名・行書・仮字をもって記したものは、すべて平仮名に改書し、漢字をもって記したものはこれを改めない。