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【右丁】
なれとも是に因(より)て又(また)脾胃(ひゐ)を傷(やふる)なり内経(たいきやう)に陰(いん)の生(しやう)ずる
所(ところ)本(もと)五味(ごみ)にあり陰(いん)の五宮(こくう)傷(やふる)る事 五味(こみ)にありといへり又(また)飲(いん)
食(しい)自(をのつから)倍(ばい)すれは腸胃(ちやうゐ)の乃(すなはち)傷(やぶる)ともいへり或(あるひ)は悪食(あくしよく)飽食(はうしよく)不時(ふじ)の
食(しよく)又(また)は飪(じん)を失(うしなへ)るとは烹(に)調(とゝのへ)生(なま)熟(うみ)の宜(よろしき)を得(え)さるなり是等(これら)
皆(みな)能(よく)脾胃(ひゐ)を傷(やふる)へし凡(をよそ)人(ひと)の晨餐(あさめし)晩食(ゆふめし)は大抵(たいてい)定(さたま)れる
分量(ふんりやう)ありてみだりに過るに至(いたる)事なし只(たゝ)不時(ふじ)の飲食(いんしい)
能(よく)傷(やふれ)を致(いたす)なり或(あるひ)は小児(せうに)の脾胃(ひゐ)虚(きよ)を致者(いたすもの)も常(つね)の乳食(にうしよく)
はさせる好(このみ)もあらされは足事(たること)を知(しり)て過(すご)し用(もちゆ)る事もなけれ
は傷(やふれ)を致(いたす)事 少(すくな)し只(たゝ)餻菓(くはし)の類(たくひ)は其口(そのくち)に甘美(むまき)に因(より)て
【左丁】
足(たる)事を知(しら)ず脾胃(ひゐ)の傷(やふれ)を致(いたす)事は皆(みな)是(これ)に因(よら)ざる事
なし大人(たいじん)も亦(また)是(これ)に異(こと)ならずされども大人(たいじん)はおとなし
くて小児(せうに)のごとくに飴(あめ)や砂糖(さたう)を貪(むさぼる)事はあらねども
それにもをとらず大(おほい)に貪(むさほる)物(もの)は只(たゝ)酒(さけ)なり人(ひと)皆(みな)小児(せうに)
の餻菓(くはし)の過(すぐ)るを制(せい)する事をしれとも自(みつから)酒(さけ)の過(すく)るを
制(せい)する事を知(しら)ず是(これ)常食(しやうしよくの)外(ほか)なる物(もの)にて朝夕(てうせき)昼夜(ちうや)時(とき)を
定(さため)ず然(しか)も大(おほい)に過(すこし)用(もちゆ)是(これ)経(きやう)に所謂(いはゆる)飲食(いんしい)自(をのつから)倍(ばい)するなれは
腸胃(ちやうゐ)の傷(やふれ)ざる事(ことを)得(う)へきや常(つね)の穀食(こくしよく)は脾胃(ひゐ)を養(やしなふ)物(もの)
なれともそれだに過(すく)れは害(かい)を為(なす)況(いはん)や酒(さけ)は元来(くわんらい)脾胃(ひゐ)に
現代語訳
【右丁】
であるけれども、これによってまた脾胃を傷つけるのである。内経に「陰の生ずる
ところは本来五味にあり、陰の五宮が傷つくのは五味によるものである」と言われている。また「飲
食が自然に倍加すれば腸胃がすなわち傷つく」とも言われている。あるいは悪食、飽食、不時の
食事、また飪を失うとは烹調(料理)において生熟の適度を得られないことである。これらは
皆よく脾胃を傷つけるのである。およそ人の朝食と夕食は大抵決まった
分量があって、みだりに過度になることはない。ただ不時の飲食が
よく傷害を引き起こすのである。あるいは小児の脾胃虚を引き起こすものも、通常の乳食
にはさほど好みもないから、足りることを知って過度に用いることもないので
傷害を引き起こすことは少ない。ただ菓子類はその口に甘美であるために
【左丁】
足りることを知らず、脾胃の傷害を引き起こすことは皆これによらないことは
ない。大人もまたこれと異ならないが、しかし大人は慎み深く
て小児のように飴や砂糖を貪ることはないけれども、
それにも劣らず大いに貪るものはただ酒である。人は皆小児の
菓子の過度を制することを知っているけれども、自ら酒の過度を
制することを知らない。これは常食以外のものであって朝夕昼夜、時を
定めず、しかも大いに過度に用いる。これは経に言うところの「飲食が自然に倍加する」のであるから
腸胃が傷つかないことを得られようか。通常の穀食は脾胃を養う物で
あるけれども、それでさえ過度であれば害をなす。況んや酒は元来脾胃に
英語訳
[Right page]
yet through this very thing, the spleen and stomach are also injured. The Inner Classic states that "the source of yin generation
lies originally in the five flavors, and the injury to yin's five palaces comes from the five flavors." It also states that "when food and
drink naturally double in amount, the intestines and stomach are immediately injured." There are also cases of bad food, overeating, untimely
eating, or losing proper preparation—meaning failing to achieve proper balance in cooking between raw and cooked. All of these
can effectively injure the spleen and stomach. Generally, people's breakfast and dinner have roughly fixed
portions and do not carelessly become excessive. Only untimely eating and drinking
effectively cause injury. Even what causes spleen-stomach deficiency in small children—since they have little preference for regular milk and food
and know when they are satisfied without using excessively,
they rarely cause injury. Only confections, because of their sweetness to the palate,
[Left page]
lead to not knowing when one is satisfied, and all injuries to the spleen and stomach stem from
this cause. Adults are no different, but adults are more restrained
and do not crave candy and sugar like children do.
However, what they crave no less greatly is only alcohol. People all know to control children's
excess with confections, but they do not know to control their own excess with
alcohol. This is something outside of regular food, used morning, evening, day and night without
fixed times, and moreover used greatly in excess. This is what the Classic calls "food and drink naturally doubling,"
so how could the intestines and stomach avoid injury? Regular grain food nourishes the spleen and stomach,
but even that causes harm when excessive. How much more so when alcohol originally affects the spleen and stomach