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【右丁】
損(そん)じて其(その)害(かい)殊(こと)に多(おほ)し凡(をよそ)腹痛(ふくつう)泄痢(せつり)水腫(すいしゆ)脹満(ちやうまん)黄(わう)
疸(だん)消渇(せうかつ)等(とう)其外(そのほか)種々(しゆ〳〵)の大病(たいひやう)脾胃虚(ひゐきよ)より来(きたる)者(もの)多(おほ)
し若(もし)さやうの病(やまひ)発(をこり)ては治(ぢ)し難(かた)けれは少(すこし)き脾胃(ひゐ)
の和(くは)せざる事を覚(をほゆ)る時(とき)は早(はや)く保養(ほうやう)を為(なし)て大患(たいくわん)に
至(いたる)事なき事を慮(をもんはかる)へし
腎虚論
○腎虚(じんきよ)とは腎蔵(じんさう)の精水(せいすい)の虚損(きよそん)せるを云(いふ)なり其(その)
病症(ひやうしやう)種々(しゆ〳〵)の品(しな)あり身体(しんたい)羸(つかれ)痩(やせ)精神(せいしん)労(いたはり)倦(うみ)或(あるひ)は自(あ)
汗(せ)盗汗(ねあせ)咳嗽(せき)痰喘(たんぜん)遺精(ゐせい)便濁(べんだく)或(あるひ)は腰(こし)痛(いたみ)て転(めくり)揺(うこく)
【左丁】
事を得(え)ず陽物(やうぶつ)痿(なへ)弱(よはく)して挙(あがら)ず或(あるひ)は晡時(ぼし)の潮熱(てうねつ)五(こ)
更(かう)の泄瀉(せつしや)陰虚(いんきよ)火動(くはとう)諸虚(しよきよ)百損(ひやくそん)是に因(より)て発(をこら)ざる事
なし夫(それ)腎(しん)は先天(せんてん)元気(けんき)の主(つかさとる)所(ところ)なり先天(せんてん)元気(けんき)とは
人(ひと)の父母(ふぼ)より受(うけ)得(え)来(きたる)所(ところ)の元気(けんき)なり難経(なんきやう)に諸(もろ〳〵)の十二(しふに)
経脈(けいみやく)は皆(みな)生気(せいき)の原(げん)に係(かかる)所謂(いはゆる)生気(せいき)の原(げん)とは十二経(しふにけい)の根(こん)
本(ぼん)腎間(じんかん)の動気(どうき)なりといへり人(ひと)此(この)生(せい)有(ある)の後(のち)は飲食(いんしい)
後天(こうてん)の元気(けんき)に依(よる)といへとも初(はしめ)より腎間(じんかん)先天(せんてん)の元気(げんき)
有(ある)にあらざれは其(その)養(やしなひ)を施(ほとこす)所(ところ)なし故(かるかゆへ)に巌用和(けんようくは)の説(せつ)
に脾胃(ひゐ)を補(をきなふ)は腎(しん)を補(をきなふ)に如(しか)ずといへり然(しか)れは腎(しん)の養(やしなふ)
現代語訳
【右丁】
損じて、その害は特に多い。およそ腹痛、下痢、水腫、腹部膨満、黄
疸、消渇などその他種々の大病で、脾胃虚から来るものが多
い。もしそのような病気が発症しては治療が困難であるから、少しでも脾胃の
調和が取れないことを感じる時は、早く養生を行って重篤な病気に
至らないよう注意すべきである。
腎虚論
○腎虚とは腎臓の精水が虚損することを言う。その
病症には種々の種類がある。身体の疲労や痩せ、精神的疲労や倦怠感、あるいは自然に出る
汗や盗汗、咳嗽、痰や喘息、遺精、便濁、あるいは腰痛で体を動かすことが
【左丁】
できない、陽物が萎えて弱くなり勃起しない、あるいは午後の潮熱、夜明け前の
下痢、陰虚火動、諸虚百損など、これによって起こらないものは
ない。それ腎は先天元気を司る所である。先天元気とは
人が父母から受け継いできた元気である。難経に「諸々の十二
経脈は皆、生気の原に係る。いわゆる生気の原とは十二経の根
本、腎間の動気である」と言っている。人がこの世に生を受けた後は飲食による
後天の元気に依るといっても、初めから腎間の先天の元気が
なければ、その養いを施す所がない。故に厳用和の説で
「脾胃を補うは腎を補うに如かず」と言っている。そうであれば腎を養う
【左丁】
できない、男性器が萎えて弱くなり勃起しない、あるいは午後の潮熱、夜明け前の
下痢、陰虚火動、諸虚百損など、これによって起こらないものは
ない。それ腎は先天元気を司る所である。先天元気とは
人が父母から受け継いできた元気である。難経に「諸々の十二
経脈は皆、生気の原に係る。いわゆる生気の原とは十二経の根
本、腎間の動気である」と言っている。人がこの世に生を受けた後は飲食による
後天の元気に依るといっても、初めから腎間の先天の元気が
なければ、その養いを施す所がない。故に厳用和の説で
「脾胃を補うは腎を補うに如かず」と言っている。そうであれば腎を養う
英語訳
[Right page]
damages it, and the harm is particularly severe. Generally, abdominal pain, diarrhea, edema, abdominal distension, jaun-
dice, wasting-thirst syndrome, and various other serious diseases often
originate from spleen-stomach deficiency. If such diseases develop, they are difficult to treat, so when one feels even a slight
disharmony of the spleen and stomach, one should quickly practice health cultivation to prevent
progression to serious illness.
Kidney Deficiency Theory
○Kidney deficiency refers to the depletion and damage of the kidney's essential water. Its
symptoms include various types: physical fatigue and emaciation, mental exhaustion and weariness, or spontaneous
sweating, night sweats, cough, phlegm and asthma, seminal emission, turbid urine, or lower back pain preventing movement
[Left page]
inability to move, male organ becoming flaccid and weak without erection, or afternoon tidal fever, pre-dawn
diarrhea, yin deficiency with fire stirring, various deficiencies and hundred damages - there is nothing that does not
arise from this. The kidney is the seat that governs primordial qi of prenatal origin. Prenatal primordial qi refers to
the primordial qi that people inherit from their parents. The Classic of Difficult Questions states: "All twelve
meridians depend on the source of vital qi. The so-called source of vital qi is the root and
foundation of the twelve meridians - the moving qi between the kidneys." Although after people receive life, they depend on
postnatal primordial qi from food and drink, if there is no prenatal primordial qi between the kidneys from the beginning,
there is no place to apply nourishment. Therefore, according to Yan Yonghe's theory,
"Supplementing the spleen and stomach cannot compare to supplementing the kidney." If this is so, nourishing the kidney