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コレクション: コレクション2

酒説養生論 7巻 - 翻刻

酒説養生論 7巻 - ページ 142

ページ: 142

翻刻

是を致(いたす)といへり凡(をよそ)此症(このしやう)他(た)の因(ゐん)なる者(もの)も亦(また)多(おほ)しといへ ども唯(たゝ)大(おほい)に酒(さけ)を飲者(のむもの)は多(おほく)此症(このしやう)を為(なす)古来(こらい)是を酒積(しゆしやく) 酒癖(しゆへき)といへり此症(このしやう)は酒(さけ)を飲(のむ)事 過(すき)て多(おほく)腹中(ふくちう)に結聚(むすひあつまり) て是を為(なす)といへり是 所謂(いはゆる)留飲(りういん)の類(るい)なり或(あるひ)は又(また)大(おほい)に飲(のむ) 者(もの)腹中(ふくちう)塊積(くはいしやく)の形(かたち)を為(なす)事あり酒(さけ)は其性(そのせい)慓悍(ひやうかん)と猛(たけく) 急(きふ)なる物(もの)なり速(すみやか)に行(めぐり)て滞(とゝこほる)事なし内経(たいきやう)に人(ひと)酒(さけ)を 飲(のめ)は酒(さけ)も亦(また)胃(ゐ)に入(いる)穀(こく)いまた熟(しゆく)せず小便(せうへん)独(ひとり)先(まつ)下(くたる)と いへり是 酒(さけ)の久(ひさし)く留(とゝまら)さるをいへり況(いはん)や酒(さけ)の質(かたち)は只(たゞ)是(これ) 水(みつ)なれは何(なん)そ塊積(くはいしやく)の形(かたち)を為(なす)事 有(ある)へきや然(しか)らは酒(さけ) 【左丁】 に因(より)て塊積(くはいしやく)の形(かたち)を為(なす)者(もの)は是 何物(なにもの)なるぞと云(いふ)に是 只(たゝ)敗血(はいけつ)の滞(とゝこほる)なり凡(をよそ)酒(さけ)の血(ち)を敗(やふる)事 前段(せんたん)すでに是を論(ろん) ず酒(さけ)腹中(ふくちう)の血(ち)を敗(やふり)其(その)敗血(はいけつ)久(ひさし)くして凝(こり)滞(とゝこほり)塊(かたまり)て積(しやく) 聚(しゆ)の形(かたち)を為(なす)内経(たいきやう)に凡(をよそ)塊積(くはいしやく)の形(かたち)を為(なす)者(もの)を論(ろん)じて 腸外(ちやうくはい)の汁(しる)沫血(あはち)と相博(あひうち)て凝聚(こりあつまり)て散(さん)ずる事を得(え)ず して積(しやく)となるといへりされは独(ひとり)酒積(しゆしやく)のみにもあらず 凡(をよそ)塊積(くわいしやく)多(おほく)は皆(みな)瘀血(おけつ)の致(いたす)所(ところ)なり仮令(たとへ)は気積(きしやく)といへ とも気(き)は元来(くわんらい)形(かたち)なき者(もの)なれは何(なん)ぞ塊積(くわいしやく)の形(かたち)を為(なす) へきや是 気(き)滞(とゝこほれ)は血(ち)も亦(また)滞(とゝこほり)て塊(くわい)の形(かたち)を為(なす)者(もの)は血(ち)なり

現代語訳

【右丁】 これを引き起こすと言われている。およそこの症状は他の原因によるものも多いとはいえ、ただ大量に酒を飲む者は多くこの症状を起こす。古来これを酒積、酒癖と言っている。この症状は酒を飲むことが過ぎて、多く腹中に結び集まってこれを起こすと言われている。これはいわゆる留飲の類である。あるいはまた大量に飲む者が腹中に塊積の形を作ることがある。酒はその性質が激しく猛々しく急激なものである。速やかに循環して滞ることがない。内経に「人が酒を飲めば、酒もまた胃に入るが、穀物がまだ消化されないうちに小便だけが先に出る」と言っている。これは酒が久しく留まらないことを言っている。況んや酒の本質はただこれ水であるから、どうして塊積の形を作ることがあろうか。そうであれば酒 【左丁】 によって塊積の形を作るものは、これは何物であるかと言うに、これはただ敗血が滞ったものである。およそ酒が血を敗ることについては前段ですでにこれを論じた。酒が腹中の血を敗り、その敗血が久しくして凝り滞り、塊となって積聚の形を作る。内経に、およそ塊積の形を作るものを論じて「腸外の汁と血沫が相打って凝り集まり、散ずることができずして積となる」と言っている。だから独り酒積のみでもない。およそ塊積の多くは皆、瘀血の引き起こすところである。たとえば気積と言っても、気は元来形のないものであるから、どうして塊積の形を作ることができようか。これは気が滞れば血もまた滞って、塊の形を作るものは血である。

英語訳

[Right page] are said to cause this condition. Generally, while this symptom often has other causes as well, those who drink alcohol heavily frequently develop this condition. Since ancient times, this has been called "alcohol accumulation" (shuseki) or "alcohol addiction" (shuheki). This symptom is said to occur when drinking alcohol to excess causes it to bind and accumulate in the abdomen. This is a type of what is called "retained fluid" (ryuin). Sometimes heavy drinkers develop masses in the abdomen. Alcohol by nature is violent, fierce, and rapid. It circulates quickly without stagnating. The Inner Classic states: "When a person drinks alcohol, the alcohol also enters the stomach, but before the grain is digested, the urine alone comes out first." This refers to alcohol not remaining long in the body. Moreover, since the essence of alcohol is simply water, how could it form masses? Therefore, when alcohol [Left page] causes the formation of masses, what is this substance? It is simply stagnant corrupted blood. We have already discussed in the previous section how alcohol corrupts the blood. Alcohol corrupts the blood in the abdomen, and this corrupted blood eventually coagulates and stagnates, forming masses that become accumulations and gatherings. The Inner Classic discusses the formation of masses, saying "intestinal fluids and blood foam clash together and coagulate, unable to disperse, thus forming accumulations." Therefore, it is not only alcohol accumulations. Generally, most masses are caused by blood stasis. Even what is called "qi accumulation"—since qi originally has no form, how could it create the form of masses? When qi stagnates, blood also stagnates, and what forms the shape of masses is blood.