翻刻!江戸の医療と養生

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酒説養生論 7巻 - 翻刻

酒説養生論 7巻 - ページ 87

ページ: 87

翻刻

【右丁】 皆(みな)天年(てんねん)を受(うけ)尽(つくさ)ざるに似(に)たり是は抑(そも)いかなる事 ぞと云(いふ)に実(げ)にさるへき事なり其 故(ゆへ)いかにとなれ は凡(をよそ)人(ひと)は能(よく)此生(このせい)を養(やしなへ)は天年(てんねん)を尽(つくす)事を得(え)て能(よく)此(この) 生(せい)を養(やしなは)されは天年(てんねん)を尽(つくす)事を得(え)す扨(さて)其 養生(やうしやう)の善(よき) と善(よから)ざると男子(なんし)婦人に因(より)て是を論(ろん)ずるに婦人は総(すべて)【總】 養生(やうしやう)に善(よく)して男子(なんし)は養生(やうしやう)に善(よから)ざるなり男子(なんし)は 貴賎(きせん)を論(ろん)ぜす心体(しんたい)ともに労役(らうゑき)する事 多(おほく)元来(くわんらい)陽(やう) 気(き)なる者(もの)なれは少(すこし)き屈抑(くつよく)に遇(あへ)は鬱滞(うつたい)【欝は俗字】し易(やす)く 専(もつはら)外(ほか)を勤(つとむ)る者(もの)なれは寒暑(かんしよ)外邪(くはいしや)をも犯(おかす)へし又は 【左丁】 彼(かの)第一(たいいち)養生(やうしやう)を害(かい)する酒色(しゆしよく)のこときも只(たゝ)情欲(しやうよく)の みにもあらず広嗣(くはうし)子孫(しそん)の謀(はかりこと)の為(ため)なれは一妻(いつさい)一妾(いつせふ) は庶人(しよしん)といへども有(ある)へし況(いはん)や富貴(ふうき)の人は内寵(ないてう) も亦(また)多(おほ)かるへし酒(さけ)も亦(また)飲者(のむもの)は多(おほく)して飲(のま)ざる者(もの)は 少(すくな)し是 男子(なんし)の養生(やうしやう)に善(よから)ざる所なり故(かるかゆへ)に多(おほく)は天(てん) 年(ねん)を尽(つくさ)ずして婦人と歯(よはい)を同(をなしふ)するなり婦人は只(たゝ) 男子(なんし)に従者(したかふもの)にて専(もつはら)制(せい)する事なけれは心体(しんたい)ともに 労役(らうゑき)する事 少(すくな)し古来(こらい)の論(ろん)に婦人は鬱滞(うつたい)【欝は俗字】多(おほし) と云(いふ)といへとも元来(くはんらい)陰気(いんき)なる者(もの)なれは屈抑(くつよく)に遇(あふ)

現代語訳

【右丁】 皆天年を受け尽くさないようである。これはそもそもいかなることかと言うと、実にそうあるべきことなのである。その理由はどうしてかと言えば、およそ人はよくこの生を養えば天年を尽くすことができ、よくこの生を養わなければ天年を尽くすことができない。さて、その養生の良いのと良くないのとを男子と婦人によって論じると、婦人は総じて養生に長けており、男子は養生に長けていない。男子は貴賎を問わず心身ともに労働する事が多く、元来陽気な者であるから少しの抑圧に遭えば鬱滞しやすく、もっぱら外で働く者であるから寒暑や外邪も犯すであろう。また 【左丁】 かの第一に養生を害する酒色のようなことも、ただ情欲のためだけでもなく、子孫繁栄の計画のためであるから、一妻一妾は庶民といえども持つであろう。まして富貴の人は側室もまた多いであろう。酒もまた飲む者は多くして飲まない者は少ない。これが男子の養生に良くない所である。故に多くは天年を尽くさずして婦人と同じ年齢になるのである。婦人はただ男子に従う者であって、もっぱら制御することがないから心身ともに労働することが少ない。古来の論に婦人は鬱滞が多いと言うけれども、元来陰気な者であるから抑圧に遭っても

英語訳

【Right Page】 all do not seem to fulfill their natural lifespan completely. When asked what this phenomenon might be, it is indeed something that should be expected. The reason is as follows: generally, if people properly nurture this life, they can fulfill their natural lifespan, but if they do not properly nurture this life, they cannot fulfill their natural lifespan. Now, when discussing whether nurturing life is good or not good in men versus women, women are generally skilled at nurturing life, while men are not skilled at nurturing life. Men, regardless of their social status, frequently engage in physical and mental labor. Being naturally yang in constitution, they easily become stagnant when encountering even slight oppression, and being those who work primarily outside, they will also be afflicted by cold, heat, and external pathogenic influences. Moreover, 【Left Page】 regarding such things as wine and sex, which are the primary destroyers of life nurturing, these are not merely for sensual desire alone, but for the plan of expanding progeny, so even commoners should have one wife and one concubine. How much more so for wealthy and noble people, who will also have many favored consorts. As for alcohol, many drink it while few abstain from it. This is where men are not good at nurturing life. Therefore, most do not fulfill their natural years and reach the same age as women. Women are merely those who follow men and do not primarily control things, so they engage in physical and mental labor less. Although ancient theories say that women have much stagnation, being naturally yin in constitution, even when they encounter oppression