翻刻
【右丁】
つかせ居候処段々風強ク相成■■【候間ヵ】からつかせニ致居候処
其夜亥之刻計ニ程あまの爪共ニ振折斯【新ヵ】浪風
強き事なれは船ニ及ひ伏ス人多かりける漸六七人
之■■【数候?の子?】者四人は梶ニ懸り候得は三四人等して出【出?土?】二り
くゝりを脇差取出し身縄を切或ハなたにて
帆足【帆の下端の麻綱。】を切折しも霜月下旬之事ニ候へ共、空ハくら
三四人ニ而働き候へ共中々浪風強き事なれば身体
【左丁】
自由ならずは是する内浪のはずみに右柱
舷之真向へ飛かゝる風すさまじき事共なり
此時梶ニ四人かゝりすくめ居けれ共右柱恐ろ敷
早く切捨よと口々ニ呼わる桁も面も楫ニ引居候
けるか上棚を打さく計り既ニ危ク見へける此時漸々
切捨流ス是ゟ息ヲつぎ替る〳〵楫を取り夜食抔
くひ心細くも伊豆七嶋之内を心かげつかせ居