翻刻
【右丁】
御社■【辺ヵ】なれ明れは廿二日伊豆七嶋之内何れニ而も上る
べしと楽しみ夜明テ小き嶋一ツ見へ候得共余り
小キ嶋ゆへ人有嶋ともおもわれず其上流■■【失食?】を
飛ひ越し候へ共楫出しも廻されば其嶋を取楫へ
見て東へつかせ居候内のうち社せつなけり【?】
時節冬の事なれは仲ゟ寄来る風吹事なし
楫に替る人之心ぞ哀なり猶此日は右之通ニ候へ共
【左丁】
晩方ニは心体労れ楫に替る心もなき折から折■【湯ヵ寄ヵ霧ヵ】
相談いたし楫を打込碇を弐切入積流しに致し
皆々つかれをはらし酒食を食し其御座候代まろび
皆々其侭寝るこそ道理なれ翌廿三日の朝迄は
右之小キ嶋も見へ候へ共其後ハ前後左右に嶋もなく
漫々たる海上に只壱艘流れ行こそ是悲なけれ【?】
扨船中皆々お先なへて【?】■ふとは夢にも思わず