翻刻
○天を うてい ○地を つんぢ ○雨を をみ
○雷を おどろ ○風を ふきご ○吹くを はる
○僧を まるどさま ○美女を とろこぼう
○美男を とろこせい ○手紙を つんみり
○重宝を うびなや ○雷盆(スリバチ)を づるばん
○雷木(スリコギ)を ずりんぎ ○巫女(みこ)を たへぢよ
○祈(いの)るといふを きめてすり ○頼(たの)むを どんだく
○よいことを うい ○悪(あし)き事を ごぶり ○大を でい
○小を ちんつ ○嬉(うれ)しきを うい〳〵
○なほ多(おほ)く。琉球(りうきう)にて ふつとろちいといふ
俗語あり。此方にて恐(おそろ)しいといふやうに聞(きこ)ゆ
るゆゑ然(さ)る事(こと)と思ひたるに。甚(はなはだ)よろこぶ
事なりとぞ。かくの如くの違(たが)ひ多(おほ)かるべし
こゝに載(のす)るものは。聞(きゝ)たるまゝにかいつけて
好事(こうず)の覧(らん)に備(そな)ふるのみ。
現代語訳
○天を うてい ○地を つんぢ ○雨を をみ
○雷を おどろ ○風を ふきご ○吹くを はる
○僧を まるどさま ○美女を とろこぼう
○美男を とろこせい ○手紙を つんみり
○重宝を うびなや ○擂鉢を づるばん
○擂木を ずりんぎ ○巫女を たへぢよ
○祈るというのを きめてすり ○頼むを どんだく
○よいことを うい ○悪いことを ごぶり ○大を でい
○小を ちんつ ○嬉しいを うい〳〵
なお多く、琉球にて「ふつとろちい」という俗語がある。日本では「恐ろしい」というように聞こえるので、そのような(怖い)ことだと思っていたのだが、とても喜ぶことだったのだそうだ。このような違いが多くあるに違いない。
ここに記載するものは、聞いたままに書きつけて、好事家の鑑賞に供するのみである。
英語訳
○Heaven: うてい ○Earth: つんぢ ○Rain: をみ
○Thunder: おどろ ○Wind: ふきご ○To blow: はる
○Monk: まるどさま ○Beautiful woman: とろこぼう
○Handsome man: とろこせい ○Letter: つんみり
○Precious item: うびなや ○Mortar (suribachi): づるばん
○Pestle (surikogi): ずりんぎ ○Shrine maiden (miko): たへぢよ
○To pray: きめてすり ○To request/rely on: どんだく
○Good thing: うい ○Bad thing: ごぶり ○Large: でい
○Small: ちんつ ○Happy/joyful: うい〳〵
Furthermore, there is a colloquial expression in Ryukyu called "futsurorochii." Since it sounds like the Japanese word "osoroshii" (frightening/terrible), I thought it meant something frightening, but it actually means something very joyful. There must be many such differences.
What I record here is merely written down as I heard it, provided for the perusal of those interested in such matters.