琉球・沖縄の世界を翻刻する

コレクション: ハワイ大学所蔵 阪巻・宝玲文庫 vol. 1

琉球奇譚 - 翻刻

琉球奇譚 - ページ 23

ページ: 23

翻刻

○天を うてい ○地を つんぢ ○雨を をみ ○雷を おどろ ○風を ふきご ○吹くを はる ○僧を まるどさま ○美女を とろこぼう ○美男を とろこせい ○手紙を つんみり ○重宝を うびなや ○雷盆(スリバチ)を づるばん ○雷木(スリコギ)を ずりんぎ ○巫女(みこ)を たへぢよ ○祈(いの)るといふを きめてすり ○頼(たの)むを どんだく ○よいことを うい ○悪(あし)き事を ごぶり ○大を でい ○小を ちんつ ○嬉(うれ)しきを うい〳〵  ○なほ多(おほ)く。琉球(りうきう)にて ふつとろちいといふ   俗語あり。此方にて恐(おそろ)しいといふやうに聞(きこ)ゆ   るゆゑ然(さ)る事(こと)と思ひたるに。甚(はなはだ)よろこぶ 事なりとぞ。かくの如くの違(たが)ひ多(おほ)かるべし   こゝに載(のす)るものは。聞(きゝ)たるまゝにかいつけて   好事(こうず)の覧(らん)に備(そな)ふるのみ。

現代語訳

○天を うてい ○地を つんぢ ○雨を をみ ○雷を おどろ ○風を ふきご ○吹くを はる ○僧を まるどさま ○美女を とろこぼう ○美男を とろこせい ○手紙を つんみり ○重宝を うびなや ○擂鉢を づるばん ○擂木を ずりんぎ ○巫女を たへぢよ ○祈るというのを きめてすり ○頼むを どんだく ○よいことを うい ○悪いことを ごぶり ○大を でい ○小を ちんつ ○嬉しいを うい〳〵 なお多く、琉球にて「ふつとろちい」という俗語がある。日本では「恐ろしい」というように聞こえるので、そのような(怖い)ことだと思っていたのだが、とても喜ぶことだったのだそうだ。このような違いが多くあるに違いない。 ここに記載するものは、聞いたままに書きつけて、好事家の鑑賞に供するのみである。

英語訳

○Heaven: うてい ○Earth: つんぢ ○Rain: をみ ○Thunder: おどろ ○Wind: ふきご ○To blow: はる ○Monk: まるどさま ○Beautiful woman: とろこぼう ○Handsome man: とろこせい ○Letter: つんみり ○Precious item: うびなや ○Mortar (suribachi): づるばん ○Pestle (surikogi): ずりんぎ ○Shrine maiden (miko): たへぢよ ○To pray: きめてすり ○To request/rely on: どんだく ○Good thing: うい ○Bad thing: ごぶり ○Large: でい ○Small: ちんつ ○Happy/joyful: うい〳〵 Furthermore, there is a colloquial expression in Ryukyu called "futsurorochii." Since it sounds like the Japanese word "osoroshii" (frightening/terrible), I thought it meant something frightening, but it actually means something very joyful. There must be many such differences. What I record here is merely written down as I heard it, provided for the perusal of those interested in such matters.