翻刻
【柱】 趣向帳 十四
薄く大きに身どり火にかけざつとあふり竹篦にて油をこき
取てぬる湯にてあらひ身どりて煮たてある汁に入さつと煮る也
○かふは白水にてとくと煮おきて汁へうつす也○鯉の汁はおろし
身よりは骨ともに筒切の方風味よろしき也鯉を切吉酒にてとくと下煮
をして味噌汁へうつす也○■【魚+夏、鰒の異体字】もときは俗名也本名は常盤汁
といふ也茂魚おこぜの類よし皮をむき切也中味噌より少し濃く
して取合作意も有へし歟吸口はすり山椒柚子○納豆汁はよく
たゝき摺たて酒にてのばし下地中味噌にしてよく煮たておき扨
納豆を流し入取合は木の子類岩たけ小鳥なと其外作意次第
吸口はからし也○おろし汁大根牛房蕪也○大根は見ずの中へすり入
水をしほり扨湯煮してしほり味噌汁へ入る也○牛房蕪は其まゝ
おろし湯煮し汁へ入る牛房には酢を少しさす也取合焼小鮒
あるひはむき海老さき海老くし海鼠さま〳〵の類也。あるひはしめじ茸
等也○ねぎ汁は水に酒をさしとくと湯で味噌に又だしを入煮る也
かくのごとくせざれば臭し○高麗煮は鯛をおろし或は骨切にて
も下地と二番の白水七分に酒三分さし煮かへし鯛をは?外の■の湯
にて湯かきおき能時分に入煮立あんばいする也醤油はかけをおとし
吸口は柚子○鱈のすまし生鱈は切て切目よりさつと塩をする也
暫くおき塩をあらひおとしつかふ也○塩鱈は四五日前より丸のまゝに
て鰭?を落し塩出すべし○口塩は前日に鰭?を取て当日切也○だし
至極■■入るべし塩鱈はまへ日に切て又塩を出し楊枝にてせゝ?りよく塩を
出してつかふべし○たしは上々の鰹節を薄く削り水にてあらひ
湯を煮立かつをぶしを入昆布の厚きを塩気なきやうにして入べし
右たしを取あげ扨古酒醤油をさしあんばいする也煮物の時は醤油
過?してよし串海鼠なと取合によし二の汁に不?終?やうに昆布
も結ふか短冊にするがよし○雁のいり皮は鍋へ油皮をいりつけ
とくと油を出し取合の品々別に能煮置雁の身も入あんばい
いたし酒塩をさし醤油を落してよし雁はこわきゆへ遅く入るべし
吸口にんにく入てよし○濃漿は蚫ばかりなと面白かるべし上味噌
とくと摺て葛を入だしにて煮立よき時分に山葵を入てよし
蚫は別に煮おき入る也打貝なとにして能煮おき入るがよし
○雁の白煮は雁をヘぎ太(ふと)めに作り白味噌がちに少し赤味噌
【柱】 趣向帳 十五