翻刻
【右丁】
最中(もなか)は望月(もちづき)の。影(かげ)さへまへき大(おほ)だんご菊(きく)の
きせ綿(わた)きなこもち。亥猪(いのこ)に会式川(えしきかは)びたり。臨時(りんじ)
にもらふ土産(みやげ)のもち。源氏秘伝(ぐえんじひでん)の子(ね)のこのもち。
三(み)つが一(ひと)ッの群勢(ぐんぜい)まで。酒(さけ)とめしとを追(お)ひまくり。
此(この)合戦(かつせん)にかちんとて。のしもちの持楯(もちたて)を。節搗(せちつき)に
つきならべ。ヘンタラ〳〵とねり出(いだ)す。出花(でばな)の花香(はなが)
花(はな)やかに。めざましくして見えにけれ。餅方(もちかた)味方(みかた)
を集(あつむ)ると。干菓子(ひぐはし)三十三荷(さんしうさんず)こくにきこえしかず
【左丁】
各加勢(おの〳〵かせい)をせんべいと。関東(くわんとう)べいのべい〴〵尽(づく)し。東(あづま)
遊(あそ)びの数(かず)〳〵に。其名(そのな)にきこえし両国(りやうごく)の。羽衣(はごろも)
せんべい巻煎餅(まきせんへい)。相撲煎餅(すまうせんへい)松風瀬平(まつかぜせへい)。木(こ)の葉(は)
煎平(せんべい)鹽(しほ)せん平(べい)。ある平(へい)渾平(こんへい)太平糖(たいへいたう)。そのほか南(なん)
京棒落雁(きんぼうらくがん)。四文房飴安(しもんぼうあめやす)。痰切坊榧入(たんきりぼうかやいり)。飴(あめ)の安名(やすな)に
葛(くづ)の葉(は)煎餅(せんべい)。丁度(ちやうど)まゐつてよかんべい迄(まで)。唐人(たうじん)
笛(ふえ)を吹(ふき)て。鉦(かね)と太鼓(たいこ)をうちならし。ヤレ来(き)た〳〵と
馳来(はせきた)る。水菓子勢(みづぐはしぜい)には蜜柑(みかん)の太夫(たいふ)。林檎三郎(りんごのさふらう)