翻刻
【右丁】
/美(みつ)つ〳〵/合戦(かつせん)の/用意(ようい)ある。/既(すで)に/某(それがし)は申 /味方(みかた)に
つけんと/密(ひそか)に/招(まね)き/■(そふら)へど申。/某(それがし)/賤(いやし)らへ申/一重(いちぢゆう)の/主(あるじ)と
して。/踏潰(ふみつぶ)されしあんもの/如(ごと)く。あちらこちらへ/何(いか)で
かつゝくべき。/早(はや)く/新手(あらて)をさしむけられ/敵(てき)の/備(そなへ)の
/固(かた)まらぬうち。/突崩(くづ)し/平(たいら)げ/給(たま)はずんば。/終(つひ)には斧(お)
/柄(の)を/用(もち)うるのうれひ/之(これ)あるべしと。/弁舌(べんぜつ)さら〳〵と
/米(こめ)をとく/如(ごと)く。/今蒸(いまむし)たての/重(ずゆう)の/赤飯(こはめし)。/湯気(ゆげ)の
やうなる/大息(おほいき)を。ほとかくついてぞ申ける。/列座(れつざ)
【左丁】
の/穀司(こくし)/大小豆(だいせうづ)。/何(なかに)と/答(こたへ)申あら/米(ごめ)の。もに/手(で)に
/汗(あせ)を/握(にぎ)り/飯(めし)。/一言(いちごん)の/弁當(べんたう)申/出(いで)ざへして。/気(き)を/籾(もみ)
たはらの/大口(おほぐち)を。あきれはてたるばかりなり
第二回
/斯(かく)ときゝくより/緑豆(やくなり)は/胸(むね)に/冷汗(ひやあせ)。/餅有(もちあり)が。/一世(いつや)の
/大事(だいじ)/此時(このとき)なり。/南元帰(なむき)命/杓子如来(しやくしによらい)。すゝはや
たまへとこゝろに/念(ねん)じ。さあらぬかほにて。/心(こゝろ)に
しづめん。/稗団子(ひえだんご)の/歯(は)につくごとく。/■■(にちやり〳〵)とこもつ