翻刻
これはしたり下の重
からさきへつめれ
ばよかつた
大王これはてうほう 【重宝】
なるものなりてい
ねいにしまつて
おくべしとて
二人の小せう 【小姓】
にいゝつけゐん
らうへつめさ 【印籠】
せ船
はね
つけ 【根付】
とぞ
なりに
けり
だまつて
はいつて
ゐなさ
【挿絵内】
てん
ほう
どうじ
さりら【「と」では】は【然りとは=まったく】
めいわくわ
かしゆさま
おがみやす
こりや
なんたる
こつちや
きうく
つな事じや
めつ■うどうじ
此重へはもう
つまらぬ
【■■ 二文字ほどありそうに見えますが?】
現代語訳
「これは失敗した。下の重から先に詰めれば良かった。」
大王は「これは重宝なるものなり。丁寧に仕舞っておくべし」と言って、二人の小姓に言いつけ印籠へ詰めさせ、船は根付となったのであった。
「黙って入っていなさい。」
【挿絵内】
てんぼう童子
「それにしてもまったく迷惑な。我が主様を拝みやすい。」
「こりゃあ何たる窮屈な事じゃ。」
「めっそう童子よ、この重へはもうつまらぬ...」
英語訳
"This is a mistake. We should have packed the lower compartment first."
The great king said, "This is a precious thing. It should be carefully stored away," and ordered his two pages to pack them into the inro, and the ship became a netsuke.
"Quietly get inside."
[In the illustration]
Tenbo-doji
"Even so, this is truly troublesome. Our lord is easy to worship."
"What terribly cramped conditions this is!"
"Messou-doji, in this compartment there's no more room..."