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コレクション: 漂流記コレクション

漂流紀事 - 翻刻

漂流紀事 - ページ 118

ページ: 118

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【右丁】 中ヲ指シ曰彼中ニ眠レリ我恐ル彼若シ此説話ノ音 ヲ聞テ其眠醒ルトキハ此衆皆彼カ食トナラン◯我曰 彼銃アリヤ答曰唯二箇アリト雖一ハ船中ニ遺セリ 我曰ク然ラハ君等三人後ニ従ヘ敵尚眠レリ容易 ニ殺シ得ヘシ又彼ヲ縛セハ如何ン曰彼衆中二人ノ 賊魁最兇暴ナルアリ彼其部下常ニ怨ムコレヲ獲バ 余賊自ラ降ラン其魁何レニアルヤ彼曰遠ケレハ知 レカタシ曰敵ノ見聞セサル隠所ニ行テ其 分撥( |テクバリ)ヲ令 セントテ一ノ林中ニ入我曰若君ヲ救ヘハ君モ又我 ヲ助クルヤ加比丹曰若舶ヲ奪ヒ返シ給ハヽ身モ共 ニ君ニ奉セン若戦利アラサレハ君ト死生ヲ共ニセ 【左丁】 ン我又舵卒ニ命シ曰汝此兵器ヲ執テ後ニ従ヘ我用 ヒント欲セハ速ニ我ニ与ヘヨ舵卒曰諾若戦ヒ勝バ 終身従ハン海客( |ビンセンノタヒ人)亦曰戦ヒ勝タバ君ヲ送リ本国ニ返 活命ノ恩ヲ報セン乃三人ニ向テ曰各銃ヲ持タント 欲スルヤ三人拝シ曰希クハ銃ヲ借ン由テ銃ヲ仮シ 且曰彼脚船ヲ奪ハンニハ彼等ヲ一斉ニ殺スニ若ズ 若シ賊魁ヲ打洩セハ彼必敵ヲ率ヒテ大ニ戦ハン皆 殺スニ若ズ語未タ終ラス二敵林中ニ立テ見ル曰彼 賊魁ナルヤ曰否我曰彼ニ放ツヘカラス#1ト別ニ小銃 ヲ授ケ共ニ進ミ行ク彼覚メタル二敵大ニ驚キ余ノ 眠レルモノヲ呼ヒ互ニ禦カントス呼声遅シ行足早 【左丁上余白】 放タサルハ他 ノ賊魁等 ノ眠ヲサマサ ヌタメナリ

現代語訳

【右丁】 中を指して言った「彼らはあの中で眠っている。私は恐れる。もし彼らがこの話し声を聞いて眠りから覚めれば、この者たち皆が彼らの餌食となってしまうだろう」。私は言った「彼らに銃はあるか」。答えて言った「ただ二挺あるが、一挺は船中に残してある」。私は言った「そうであれば、君ら三人は後について来い。敵はまだ眠っている。容易に殺すことができるだろう。また彼らを縛るのはどうか」。言った「彼らの衆中に二人の賊の首領で最も凶暴な者がいる。彼らはその部下から常に恨まれている。これを捕らえれば、残りの賊は自ら降参するだろう。その首領はどこにいるのか」。彼は言った「遠いのでよくわからない」。言った「敵に見聞きされない隠れた所に行って、その手配をしよう」と言って、ある林中に入った。私は言った「もし君を救えば、君もまた私を助けるか」。船長は言った「もし船を奪い返してくださるなら、身も共に君にお仕えしよう。もし戦いに勝利がなければ、君と死生を共にしよう」。 【左丁】 私はまた舵取りに命じて言った「汝はこの兵器を取って後について来い。私が用いたいと思えば、速やかに私に与えよ」。舵取りは言った「承知いたしました。もし戦いに勝てば、終身従いましょう」。海客(商人の仲間)もまた言った「戦いに勝ったならば、君をお送りして本国に帰し、活命の恩を報いよう」。そこで三人に向かって言った「各々銃を持ちたいと思うか」。三人は拝礼して言った「どうか銃をお貸しください」。よって銃を貸し、かつ言った「彼らの小舟を奪うには、彼らを一斉に殺すに限る。もし賊の首領を打ち漏らせば、彼は必ず敵を率いて大いに戦うだろう。皆殺しにするに限る」。語がまだ終わらないうちに、二人の敵が林中に立って見えた。言った「彼らは賊の首領か」。言った「いや」。私は言った「彼らには発砲してはならない」と別に小銃を授け、共に進んで行く。彼らが目覚めた二人の敵は大いに驚き、他の眠っている者たちを呼んで、互いに防ごうとした。呼び声は遅く、歩みは早かった。 【左丁上余白】 発砲しないのは、他の賊の首領らの眠りを覚まさないためである。