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コレクション: 漂流記コレクション

漂流紀事 - 翻刻

漂流紀事 - ページ 119

ページ: 119

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【右丁】 シ舵卒海客已ニ共ニ機ヲ発シ二敵爆ニ応シテ斃ル他 ノ一人ハ重ク傷ラレ哀音ヲ発シ活命ヲ喚フコト数声 時ニ加比丹大喝シ曰汝助ケヲ喚フコト遅シ天汝ノ暴 悪ヲ罰スルナリトテ銃ノ木柄ヲ以唯一下ニ撃殺ス 他ノ三人モ亦傷ヲ被リ加比丹ニ向テ一命ヲ免スヲ 乞フ則彼ヲ緊シク縛シ普鈴ニ命シテ船中ニアル船 具帆櫓柁ヲ執リ来ラシム時ニ二人ノ敵銃爆ニ驚キ 林中ヨリ跳リ出ツ加比丹ノ勢ヲ見テ今迄ハ我俘ナ リシニ今彼ガ俘トナラントテ身ヲ縮メ地上ニ伏ス 由テ又緊縛ス◯加比丹既ニ敵ヲ殺降シテ其心降ル 由テ城ニ引(ツレ)行キ互ニ従来ヲ語ル加比丹我漂着以後 【左丁】 活計ノ千辛万苦ヲ聞キ且百工ノ事ヲ発明セシコト等 ヲ想像シテ皆竒々ノ会叢ナリトテ大ニ驚ク且其天 ノ祐ケアルヲ知テ感泣口ヲ䈤ンテ言ハサルコト多時 二客モ亦大ニ驚歎ス◯我蒸餅ヲ焼キ羊肉ヲ烹葡萄 酒ヲ出シ大ニ享ス又手製ノ家什ヲ悉出シ示ス諸客 見テ奇ニ伏ス◯又曰此ヲ距ルコト三里ニシテ別舎#1アリ 林中ニモ亦奇ナル一居アリ我富テ王公ノ如シト大 ニ笑ヒテ疲ヲ忘ル◯宴酣ニシテ加比丹忽然トシテ曰此 等急話ニ非スシテ皆無益ノ談ナリ別ニ一大患アリ緩 フスヘカラス彼舶中尚二十六ノ敵アリ必来テ我ヲ 害セン曰誠ニ然リサラハ防禦ノ備ヲナサン時失フ 【左丁上余白】 新舎ハ中頃 ニ毀リテ又立 タリ

現代語訳

【右丁】 舵取りと海客(商人の仲間)はすでに共に銃の引き金を引き、二人の敵は銃声に応じて倒れ死んだ。他の一人は重傷を負い、悲痛な声を発して助命を叫ぶこと数声。その時、船長は大喝して言った「汝が助けを求めて叫ぶのは遅い。天が汝の暴悪を罰するのだ」と言って、銃の木製の柄でただ一撃で打ち殺した。他の三人もまた傷を負い、船長に向かって命乞いをした。そこで彼らを厳重に縛り、フライデーに命じて船中にある船具・帆・櫓・舵を取って来させた。その時、二人の敵が銃声に驚いて林中から飛び出してきた。船長の勢いを見て、今までは我々が彼の捕虜であったのに、今度は彼らが捕虜になろうとして、身を縮めて地上に伏せた。よってまた厳重に縛った。船長はすでに敵を殺したり降伏させたりして、その心も落ち着いた。よって砦に連れて行き、互いにこれまでの経緯を語った。船長は私の漂着以後の 【左丁】 生活の千辛万苦を聞き、また様々な技術を発明したこと等を想像して、皆奇々の出来事の集まりだと言って大いに驚く。またその天の加護があることを知って感涙し、口を噤んで言葉を発しないこと長時間。二人の客もまた大いに驚嘆した。私は蒸しパンを焼き、羊肉を煮て、葡萄酒を出し、大いにもてなした。また手製の家具類を全て出して見せた。諸客は見て奇異に感服した。また言った「ここから三里離れた所に別荘があり、林中にもまた奇妙な住居が一つある。私は富んでいて王公のようだ」と大いに笑って疲れを忘れた。宴たけなわの時、船長は突然として言った「このような急を要さない話ではなく、皆無益な談話である。別に一つの大きな心配事がある。緩慢にしてはならない。彼らの船中にはまだ二十六人の敵がいる。必ず来て我々を害するだろう」。言った「まことにその通りだ。それならば防御の備えをしよう。時機を失っては 【左丁上余白】 新しい家は中頃に壊れて、また建て直した。