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コレクション: 漂流記コレクション

漂民御覧之記 - 翻刻

漂民御覧之記 - ページ 13

ページ: 13

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【右丁】        答 老中とも可申役人帰国の砌申され候は世界の国々大低我国と交易 通/商(シヤウ)をせさるは無之候に日本のみ通信無之候此度汝等を送 帰し候同茲交易の儀を取結ひ度事に有之候去なから強 てと申筋にては無之候旨呉々被申会られ候此義帝より仰渡 され候事にては無御座候全右役人の存寄にて申聞れ候事に推察仕候        問 彼地にて耶蘇宗門に入改宗致し者は四十二日水を浴後ロを向て 唾(ツバ)吐(ハキ)し其上にて名を改め候由勿論名を改候打水を浴せ見及候義は有之哉 【左丁】        答 御/尋(タスネ)のことくに御座候名を改候時はいつれ水を浴せ候事と相見へ七夜に 小児の名を付候節も大鉢に水を湛へ小児を水中へ三度浸へ上に て名を附申候小児ことの外啼申候        問 宗門に入不申候はゝ左様の儀見及申間鋪事に有之候        答 前にも申上候通私共は制外ゆへ何方へいか様の儀を見候ても 左迄咎候ものも無御座候右躰之儀共心侭に見物仕候義に御座候

現代語訳

【右丁】 答 老中とも申すべき役人が帰国の際に申されたことは、「世界の国々は大抵我が国と交易・通商をしないところはないのに、日本のみ通信がない。この度お前たちを送り帰すのと同時に交易の件を取り結びたいと思っている。しかしながら、強制するという筋合いではない」と繰り返し申し聞かされました。この件は皇帝から仰せ渡されたことではございません。全くその役人の考えで申し聞かせられたことと推察いたします。 問 かの地でキリスト教に入信改宗した者は、四十二日間水を浴びた後、西を向いて唾を吐き、その上で名前を改めるそうですが、もちろん名前を改める際に水を浴びるのを見たことがありますか。 【左丁】 答 お尋ねの通りでございます。名前を改める時はいずれも水を浴びることと見受けられます。七夜に小児の名前を付ける際も、大きな鉢に水を満たし、小児を水中へ三度浸した上で名前を付けます。小児は非常に泣きます。 問 宗門に入らなければ、そのような儀式を見ることはできないはずですが。 答 前にも申し上げました通り、私どもは制約の外にあるので、どこへ行ってどのような儀式を見ても、それほど咎める者もおりません。そのような儀式なども自由に見物することができるのでございます。