翻刻
ほこりけん不思議のふるまひ多かりけり《場所:関か原》の軍
終てのち徳川殿《場所:近江国草津》の宿に至り給ひ洛中物
しつかならすと聞召狼藉をしつめられんかため正則等して
都にのほせらる正則か侍の使すとて跡にさかつて馳行に
《場所:日岡》の関すくるとて番の兵と 口論におよふ事ありしか
おのか主に追つきて使の事終てのち身のいとま給り
引返してかの兵と戦ひ死せんとて事のやうを申次
正則馬□たてゝこれをきゝもつての外に気色損し
やゝあつてのちあつこれ汝主の使なれはとて恥を忍
むて帰参り身の□給てのち大勢手むかひ戦ひて
死せんすとおもふ神妙の到也 正則思ふ子細有 我に
したかつて来れとて 都に引くしかの侍をめして汝一是
死てんなと問ふ仰にやおよふへきとこたふよし〳〵
さらさらはそれにて腹きれ正則か身汝にかはりて徳川殿ゟ
彼関守らせられし伊奈か首とつて汝に手向んす物を
とて首うちおとし伊奈図書かもとに贈り正則か
侍伊奈殿に恨/す(申)すへき事ありとてはらきりぬ
御実検のため 彼首を参らす 其心を得らるへう候と
いふ伊奈其使に事のやうを聞我手の兵にとふにこそ
かゝる事ありし事は 初てしつてそれ仰承りぬとて使