翻刻
懐石四季之友
懐石の献立四季折々の趣向塩梅の浜の真砂にてさ
ため難からんされとも厚味上品にかゝわらすありのまゝ
守る喰 料理第一ならんか 予風情の考案に及ふ
へき事にハあらねとも初ひ学ひの人々のたすけにも
ならんかと書きしるしはむへるのみ
明治丗年きさらきの日 緑筠庵麻渓
現代語訳
懐石四季の友
懐石の献立は四季折々の趣向や塩梅が浜の真砂のように無数にあって、
まとめることは難しいであろう。しかしながら、厚味や上品さにこだわらず、ありのままを
守る食事・料理が第一であろうか。私が風情について考案に及ぶ
べきことではないけれども、初心で学ぶ人々の助けにも
なるだろうかと思い、書き記すばかりである。
明治三十年如月の日 緑筠庵麻渓