翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

栄増眼鏡徳 3巻 - 翻刻

栄増眼鏡徳 3巻 - ページ 20

ページ: 20

翻刻

【右丁 挿絵】 【上部】 これも所はどこにもせよ 化物がでると いふ事世上の 人専らいふ ゆへめがねや の幸右衛門 化物を 退 治 せ んと ちときの ない咄にて さかさま にみへる目 かねをくわい 中し化物 のでるを待し になるほと八 のかねがごん〳〵と なるとひとしく 化物といふばけもの いつでもお定まりの 見こし入道三つ目小僧 ゆき女なといふ名のやつら 出しを幸右衛門くそとも 思はすおめへたちはおれを 化しに来なさつたかまづ それよりは此めがねをみなせへと【左丁上部へ】 【左中央】 おれも人を いかい事ばか したが此よふな めにあつた□【事】は はじ□□【めて】た はやく□□□【にげろ】 【左丁 挿絵】 【上部】 壱つ〳〵□【に】化物共へあたへけれはなんの心なくさかさま 目がねを目へあてし所にのこらず逆様に見へる きもをつふし二度と化物いでさりける これもうそら しい咄也

現代語訳

【右丁 挿絵】 【上部】 これもある場所でのこと、 化け物が出ると いう事を世間の 人々がもっぱら言う ので、眼鏡屋の 幸右衛門が 化け物を 退 治 し よ う と ちょっとした 面白い話で、 逆さまに 見える眼 鏡を懐中し、化け物 が出るのを待った ところ、なるほど夜 更けになると太鼓がドンドンと 鳴ると同時に 化け物という化け物、 いつでもお決まりの 見越し入道、三つ目小僧、 雪女などという名の奴ら が出た。幸右衛門はくそとも 思わず「お前たちは俺を 化かしに来たのか。まず それよりはこの眼鏡を見なさい」と【左丁上部へ】 【左中央】 俺も人を ひどいことばかり したが、このような 目にあったことは 初めてだ。 早く逃げろ。 【左丁 挿絵】 【上部】 一つ一つ化け物共に与えたところ、何の疑いもなく逆さま 眼鏡を目に当てたところ、残らず逆様に見える。 肝をつぶし、二度と化け物は出なくなった。 これもうそらしい 話である。