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【右側】
赤土の泥海にていかゝ成行事なるそと
まつ粥(かゆ)を煮て食事をなし居けるか水主
の内何かし風と向ふを指さし海上遥に
見ゆるは舟にては有ましきやといふにそ
我も〳〵と延上り遠目(とふめ)にとくと見渡せは
小船壱艘棹さしてこなたの方へ寄せける
体此時の悦は咄にも又語られす夫より
段々三四町も近附候故只両手を上て
【左側】
十六人共助呉候へと呼はり〳〵高声にのゝしる
にそ舟は次第近附て半町計向ふ迄
漕寄ける故いよ〳〵声を計に招しか十六人共
髪もおとろに成面体も腫ふくれ其上
姿の見苦敷にやよせくる舟は俄に
元へ引返さんと櫓を取直し舟を廻さんと
せし故 大紙(かたおり)に認し送り手形を高く
指出しひろけ見せ手を合せ泣悲むの