翻刻
【右側】
暁方より空かき曇り半日計も大雨
頻に降つゝき水桶手桶たらい鍋釜
に至まて天水を取置少しは人心地に
成事神の納受難有銘〳〵身を
清め太神宮を伏拝み渇を凌き暫
息を休めけるもはや石の巻を出し
より日をかそへみれは凡八十日計になり
流次第にて如何なる国へ着事やら
【左側】
心細事云計なし只明し暮し浪に漂ひ
四五十日も山はみえす誠世界の
大難にて爰を見かしこを詠ても
舟もなけれは浦もなし空飛鳥を
友となし日を送る其内に天水多
呑し故にや十六人共不残面体手足まて
腫ふくれ腹は次第に張満て目はほそくなり
我も〳〵と指を以て手足を押せは