翻刻
【右側】
壱寸つゝも深く指の跡付にそあらぬ事共
取交てけふは命の限成りあすは藻屑(もくす)
と成果るか迚も可死約束ならは何国の
浦へなりともたとり着生死の程も
定度落涙数行におよひ猶も太神宮の
御加護にて人里近く寄給へと御鬮を捧
漂行内誠に神の御助にて霜月十七日
明方朝日と共に一里計未申の方に小さな
【左側】
島山を見付し故此島へと心さし程なく
島きわまて漕寄けるか是迄段々の
難風にて船の上ふち開き五寸七寸つゝも
ゆるみ用意のしゆろ縄にてもしりを
懸此所まては来りしにあか水七八尺も
入もしりも切もはや船も乗かたく此末は
いかゝせんと先十六人とも舟櫓へ上り夫より
島の小高き山へ登り四方八面目の及ふ