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コレクション: 十返舎一九

【黄表紙】木下蔭狭間合戦 - 翻刻

【黄表紙】木下蔭狭間合戦 - ページ 18

ページ: 18

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たけなが しけはるは たばかられ たることを むねんに おもい びやう ちうな がら しゆつぢん しておけ はざまへ はせつき 久よし を打とらん とこゝかしこ をはせまはる しかるにさへだ 犬きよよし たつをうち とつたりと よばわる こへにおど ろきその 犬きよは わがかた にてせつ ふくしたり 二人犬きよ あるべきはづ なしなに にもせよ 主人のかたき とりけむ かふ久よし はせより いたきたるおさ なこをたけ中が まへゝつきつけ これ□そよし たつをうちとりし とうのかたきさへた 犬きよ打とつて 主人よしたつに たむけられよと つきつけける竹中 みればわかむすめ ちさとがおもさし によくにたるはさて こそうはさにきゝし 犬きよとちさとか 中に生れたるせかれ わかためにはうい まごとおもへばきる にもきられす たちまちたけなか ゆうきもとろけこれより しゆつけして主人の跡を弔ひける 小田春永公 蓮葉  与六 此下  久吉 竹中  重春

現代語訳

竹中重治(竹長重春)は騙されたことを無念に思い、病中ながら出陣して桶狭間へ駆けつけ、久芳を討ち取ろうとあちこちを駆け回った。しかるに左枝犬清が義龍を討ち取ったという声に驚き、「その犬清は我が方にて切腹したはず。二人の犬清があるはずがない。何にもせよ、主人の敵を討ったのであろう」と久芳が駆け寄り、連れてきた幼子を竹中の前に突きつけ、「これこそ義龍を討ち取った当の敵、左枝犬清を討ち取って主人義龍に手向けよ」と突きつけた。 竹中が見ると、我が娘千里の面差しによく似ている。「さてこそ噂に聞いた犬清と千里の間に生まれた子であろう。我がためには初孫と思えば殺すにも殺されず」、たちまち竹中の勇気も溶け、これより出家して主人の跡を弔った。 小田春永公 蓮葉与六 此下久吉 竹中重春

英語訳

Takenaka Shigeharu (Takenaga Shikeharu) felt bitter resentment at being deceived and, though ill, took the field and rushed to Okehazama, racing about here and there trying to kill Hisayoshi. However, startled by the voice proclaiming that Saeda Inukiyo had killed Yoshitatsu, he thought: "That Inukiyo committed seppuku on our side. There cannot be two Inukiyos. Whatever the case, he must have taken revenge for our lord." Hisayoshi rushed over and thrust a small child he had brought before Takenaka, saying: "This is the very enemy who killed Yoshitatsu - kill Saeda Inukiyo and offer him as tribute to your lord Yoshitatsu." When Takenaka looked, the child closely resembled the features of his own daughter Chisato. "Ah, this must be the child born between Inukiyo and Chisato, as rumored. For me, thinking of him as my first grandchild, I can neither kill nor have him killed." Immediately Takenaka's warrior spirit melted away, and from then on he became a monk and mourned for his lord. Oda Harunaga-kō Hasuba Yoroku Konoshita Hisakichi Takenaka Shigekazu