翻刻!江戸の医療と養生

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江戸花俳優贔屓 : 3巻 - 翻刻

江戸花俳優贔屓 : 3巻 - ページ 5

ページ: 5

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【右頁】 【上段】 くんさい なかばなしを するきやくを はやくかへらせる りようじを たのまれければ はきものゝ うらへきうを すへておちを      とる いつでも九つがものは ござりますが 御きうが   きいた そうでもふ  たばこいれ   をしま    はれます これでき    かすは【効かなければ】 すりこ木を  けづつてのませ  せるがいゝ      のさ 【中段】 これは十四けい【注】にも  もれた大じの   きうしよ【灸所】て      ごさる しかし此くらいなことは  御やうだいがきて      すむことだ 【注 十四経=全身の経絡、もしくはそれらについて記した中国の医書『十四経発揮』】 【左頁】 また〳〵きん日 ゆるりとさん上  つかまつり   ませう しきりに ようじが できてまいつた はてがてん のゆかぬ もそつと おはなしなされまし どうか これではいしべや 金さへもん【石部屋金左衛門=「石部金吉」に同じ】の ようだす

現代語訳

【右頁】 【上段】 薫臍医は、長話をする客を早く帰らせる治療を頼まれたので、履物の裏に灸をすえて落ちをつけた。 「いつでも九つ(午後12時頃)には帰るものですが、お灸が効いたようで、もうタバコ入れをしまわれます」 「これで効かなければ、すりこ木を削って飲ませるのがよいでしょう」 【中段】 「これは十四経にも載っていない大事な灸のツボでございます。しかし、このくらいのことは、お容易なことで済むことです」 【左頁】 「またまた近日、ゆっくりと参上いたしましょう」 「しきりに用事ができてまいりました。まったく合点のいかない」 「もう少しお話しなされませ。どうか、これでは石部屋金左衛門(石部金吉と同じく、融通の利かない人)のようです」