翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

食事戒 - 翻刻

食事戒 - ページ 30

ページ: 30

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【右頁】 誰(だれ)か是(これ)を毒(どく)といわん。其/塩(しほ)をもつて茶(ちや)に投(たう)じ。 ひとしく食(くら)ふ時は。腹中(ふくちう)に入て宜(よろし)からざること。賊(ぬすびと) を駆(かつ)て。家内に入るがごとしと。医書(ゐしよ)に見へたり。 たとへば焔硝(ゑんせう)一味(いちみ)にては能(よく)することなきも。口(くち) 薬(ぐすり)に製(せい)すれば。炮(たま)を走(はしら)しむ。平味(へいみ)なるものも。 二物(にぶつ)相(あい)ならびては。毒(どく)となること有。薬種(やくしゆ)を 配剤(はいざい)して。或(あるひ)は補(ほ)【左ルビ「おきなふ」】。或(あるひ)は瀉(しや)【左ルビ「くだす」】。其/功(こう)数(す)端(たん)なる 【左頁】 みな此/理(ことはり)なり。 ○合食(がつしよく)すべからざる品(しな)荒増(あらまし)左に記(しる)す《割書:○は大毒の印》  饂飩(うんどん)に西瓜(すいくわ)    鯉(こゐ)に胡椒(こしやう)又は小豆(あづき)  枇杷(びわ)に蟹(かに)     木瓜(ぼけ)に梅(むめ)  楊梅(やまもゝ)に炒豆(いりまめ)《割書:○》   金柑(きんかん)に蕃薯(さつまいも)  馬歯莧(すべりひゆ)に胡椒(こしやう)   鰻魚(うなぎ)に西瓜(すいぐわ)《割書:○》又は木瓜(ぼけ)《割書:○》又は酢(す)  緑豆(やえなり)に榧子(かやのみ)    商陸(やまごばう)に芹(せり)

現代語訳

【右頁】 誰がこれを毒だと言うだろうか。その塩をもって茶に入れ、一緒に食べる時は、腹中に入って良くないことは、盗賊を駆り立てて家内に入れるようなものだと、医書に見えている。 たとえば焔硝一味では何も効果がないが、火薬に製すれば大砲の弾を走らせる。平凡な味のものでも、二つの物が相合わされると毒となることがある。薬種を配合して、あるものは補い、あるものは下す。その効果は数限りない 【左頁】 皆このような理屈である。 ○一緒に食べてはいけない品物の概要を左に記す《○は大毒の印》  うどんに西瓜         鯉に胡椒又は小豆  枇杷に蟹           木瓜に梅  楊梅に炒り豆《○》      金柑に薩摩芋  馬歯莧に胡椒         鰻に西瓜《○》又は木瓜《○》又は酢  緑豆に榧の実         商陸に芹

英語訳

【Right Page】 Who would call these poisonous? When salt is added to tea and consumed together, it entering the abdomen is harmful, like driving thieves into one's home, as recorded in medical texts. For example, saltpeter alone has no effect, but when processed into gunpowder, it can propel cannonballs. Even bland substances can become poisonous when two substances are combined. By blending medicinal ingredients, some supplement while others purge. Their effects are countless. 【Left Page】 All follow this principle. ○Foods that should not be eaten together are roughly listed below 《○ indicates highly poisonous combinations》  Udon noodles with watermelon   Carp with pepper or red beans  Loquat with crab         Quince with plum  Bayberry with roasted beans《○》  Kumquat with sweet potato  Purslane with pepper       Eel with watermelon《○》or quince《○》or vinegar  Mung beans with torreya nuts   Pokeweed with water dropwort