翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション2

病家要論 三冊(上・中・下) - 翻刻

病家要論 三冊(上・中・下) - ページ 108

ページ: 108

翻刻

【右丁】 咳(セキ)のあるに桑(サウ)-白([ハ]ク)-皮 杏仁(キヤウニン)。痞(ツカエ)に莪(ガ)■(ジユツ)【艹+朮】 三陵(サンリヤウ)枳(キ)-殻(コク)厚(カウ)-朴(ホク)。腹-痛(イタム)に芍(シヤク)-薬(ヤク)木-香。小 便(ベン)濁(ニゴ) ̄ル には知(チ)-母(モ)黄(ワウ)-栢(バク)。小-便 通(ツウ)ぜざるに 猪(チヨ)-苓(レイ)沢(タク)-瀉(シヤ)木(モク)-通(ツウ)車(シヤ)-前子(ゼンシ)。熱(ネツ)に柴(サイ)【「カイ」は誤記】 胡(コ)黄(ワウ)-芩(コン)。大-熱-瘡(カサ)などの生(シヤウ)ずるに は防(ホウ)-風通 聖(シヤウ)散 等(トウ)を用ひずといふ 事なし。療-治の法 大(タイ)-抵(テイ)かくの如き ばかりなり余(ヨ)の病もこれになぞら 【左丁】 えてしるへし。衆方(シユホウ)規矩(キク)にて医と なり常に秘方あり師-伝ありとする ことの世に多きは歎(ナゲカ[ハ])-敷(シキ)事なり。病 家も其(ソノ)-医を信するは医-道-世に明 らかならざるならし。むかしよりかく のことしといへどもとりわきて近 年俗書を出-板してより妄(モウ)【「”モラ」は誤記ヵ】 医の出るなるべし

現代語訳

【右丁】 咳があるときには桑白皮、杏仁。つかえには莪朮、 三稜、枳殻、厚朴。腹痛には芍薬、木香。小 便が濁るときには知母、黄柏。小便が 通じないときには猪苓、沢瀉、木通、車前子。熱には柴胡、 黄芩。大熱や瘡などが生じるときに は防風通聖散等を用いないという ことはない。療治の方法は大体このような ことばかりである。その他の病もこれに倣って 【左丁】 理解すべきである。世間の医師は決まりきった処方で医者と なり、常に秘方があり、師伝があるとする ことが世に多いのは嘆かわしいことである。病 人もその医者を信じるのは、医道が世に明 らかでないからであろう。昔からこのような ことだといっても、とりわけ近 年、俗書を出版してから、やぶ 医者が出てくるのであろう。