翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

無病延命記/飲食効毒 - 翻刻

無病延命記/飲食効毒 - ページ 4

ページ: 4

翻刻

立給(たてたまふ)故次第(かるがゆへしだいに)《振り仮名:随_二 上代_一吟_二諸事_一|じやう だいとなるにしたがひしよじをぎんず》。 時(とき)に随(したが)ふと云(いふ)は是成(これなる)べし。昨日(きのふ)はあとへ 戻(もど)らず。今日(けふ)は明日(あす)をしらず。右(みぎ)に付(つき)貴位高録(きゐかうろく)にして。学手芸有(がくてげいある)ト(と) 雖(いへ)ども。愚心(ぐしん)は諸事(しよじ)を損(そんず)ル(る)。貧敷(まづしき)下賤(げせん)にして。無学無芸(むがくむげい)ト(と)雖(いへ)ども。 智人(ちじん)は人(ひと)を助(たすけ)ル(る)。先祖(せんぞ)より譲(ゆづり)にして。家業安楽(かぎやうあんらく)ト雖(いへ)ども。主(あるじ)勤(つとめ) 薄(うすき)は。其家(そのいゑ)ヲ破(やぶ)ル(る)。難義困窮(なんぎこんきう)にして。財宝貯無(ざいほうたくはへなき)ト(と)雖(いへ)ども。陰徳(ゐんとく) 有(あれ)は。陽(やう)を求(もとむ)ル(る)。我(わが)宗旨(しうし)専(もつぱら)にして。信心(しん〴〵)成(なす)ト(と)雖(いへ)ども。他宗(たしう)を 譏(そしら)は病難(びやうなん)を司(つかさど)ル(る)。面(おもて)衣服(いふく)美(び)にして。諸芸(しよげい)有(あり)ト(と)雖(いへ)ども。心持(こゝろもち) 凶敷(あしき)は。後(のち)の笑(わら)ひヲ(を)受(うけ)ル(る)。家業(かぎやう)無精(ぶせい)にして。神仏(しんぶつ)頼(たのむ)ト(と)雖(いへ)ども。 行末(ゆくすへ)早(はやく)髪(かみ)ヲ(を)剃(そ)ル(る)。我(わが)作(つく)る悪逆(あくぎやく)にして。無智(むち)に負(おゝせらる)ト(と)雖(いへ)ども。 天罪(てんばつ)は己(おの)■【之ヵ】悪(あく)ヲ(を)語(かた)ル(る)物智自慢(ものしりじまん)にして。㖧(しやべり)歩行(あるく)ト(と)雖(いへ)ども。 追日(おひじつ)は独(どく)■【身ヵ】ト(と)成(な)ル(る)。己(おの)が智(ち)薄(うす)き身(み)□して尊(たつとき)を恨(うら)み。悪様(あしさま)に 言(いふ)ト(と)雖(いへ)ども後日(ごにち)は高名(かうめい)ヲ(を)挙(あげら)ル(る)。真実(しんじつ)無我(むが)にして。人為(ひとだめ)に成(なる)ト(と) 雖(いへ)ども。不思儀(ふしぎ)は宝(たから)ヲ(を)得(ゑ)ル(る)。前(ぜん)之/通(とをり)故(ゆへ)。何人(なにびと)にても。未(いま)だ善事(よきこと) 致(いた)したる覚(おぼへ)無(なき)に。立身(りつしん)致(いた)さんとは心得(こゝろへ)違(ちがひ)なり。猶又(なをまた)少(すこ)し善事(よきこと) いたし。過分(くはぶん)の幸(さいわ)ひ得(ゑ)んと思(おも)ふは横道(わうどう)なり。尤(もつとも)貧者(ひんじや)の一灯(いつとう)と云事(いふこと) 有(あれ)ども。是(これ)は真実(しんじつ)を以(もつ)て分限一盃(ぶんげんいつぱい)の供養(くやう)致(いた)す事也。黏餅(とりもち)で 雀(すゞめ)鳩(はと)は取(とれ)ども。鷲(わし)鵞(くま)鷹(たか)は取(とれ)ず。是(これ)自然(しぜん)の道理(どうり)なり。既(すで)に天下(てんが)の 政道(せいとう)も。千人力(せんにんりき)は万人(まんにん)の多勢(たせい)を以(もつ)て討取(うちとる)。何(なに)ほど広大成悪智(かうだいなるあくち)と 雖(いへ)ども。智者(ちしや)集(あつま)り是(これ)を赦(ゆる)さず。刑罪(けいばつ)に合(あ)ふ。又(また)借金返済(しやくきんへんさい)無者(なきもの)は。 身上被召上(しんしやうめしあげられ)。貸方(かしかた)へ下(くだ)さる。都(すべ)て定法(じやうほう)背(そむ)く族(やから)は。其(その)軽重(けいぢう)に応(おう)じ 咎(とがめ)有(あ)り。扨又(さてまた)忠孝(ちうかう)の者(もの)は。御褒美(ごほうび)被為下置(くだしおかせらる)。皆夫々御沙汰(みなそれ〳〵ごさた) 被為有事(あらせらるゝこと)。有難(ありがた)き次第(しだい)なり。其結構(そのけつかう)なる国恩(こくおん)を。