翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

唐泊リ孫七物語 - 翻刻

唐泊リ孫七物語 - ページ 11

ページ: 11

翻刻

【右丁】 くもり墨の如く成る雲出て西風しきりにつよく 成りふりくる雨は■【篠】を乱しいなひかり電【雷ヵ】の 音やむ間なく天地もくつかへる斗り也小山の如くの 大浪打て舟をくつがへさんとすれはせん方 なく碇綱を切放しいづ地へ成り共はせ行 べしと帆を巻とも風雨はげしく綱ぬれ てせびのめぐりもきしりて。はか〴〵しからず 帆も上られねどやう〳〵半合斗揚つゝ 【左丁】 いづくと当どもなく風に任せて沖の方へ そ出て行是程之難風なれども岩にも当 らす船もやぶれもせずまだしも運のつよ かり けん(ケン)流れて夜もふけしが雨も少しは 風も安(ヤス)く成る十九夜の月おぼろに見へさせ 給ふと程もなく夜はほの〴〵と明渡る夜 中の大浪梶いたみし故是を細工しつゝ 海四方を見るに山の気色は見へず磁石を