翻刻
【右丁】
見れは戌亥の風なり何れ行は日本の
地え着事やらさらにはからず行通の舟と
てもなし是に依て風にしたかい舟を走ら
せけれど数日かさぬれともさらに山を見ず
《割書:コハ|》いか成所に行やらんと人々あきれ果て
ける斯日数を重ぬるゆへに用意の水につきたり
是に依て雨之ふるを待て櫓(ヤクラ)の上に横木を打
流れをば一所になし桶に受て水を たわ(タクハワ)へる粮米も
【左丁】
次第〳〵に減(ゲン)ずるを地方に寄まてと けん(ケン)やく
をして喰しける然(シカル)に梶又そんじけるゆへ梶床
より綱を引せ材木なと釣下おゐて帆柱
を切折に大斧を以て前後より■かわり〳〵切
かゝりけるゆら〳〵に切たをし其後は帆桁た
を以て柱に拵へて帆幅もわすかにせばめつゝ
か なり(なり)〳〵に風を受流るゝ潮にしたがいいつく共
なく行けるが十一月中頃に成りて風も和らき海上も