翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

唐泊リ孫七物語 - 翻刻

唐泊リ孫七物語 - ページ 13

ページ: 13

翻刻

【右丁】 静なれは皆々とらの間に打寄て言けるは塩家 の岬をはなれしより日数廿五日か■とかくして 走り殊に此海上は潮(シヲ)の得事 満(ミチ)し瀬戸を 落すより猶早く扨また針筋を見れは 西の方に打向凡二三千里も流れたれとも 山壱ツも見へ出ずはるかに山か雲かと見やれ 共風筋ならねは近(チカ)寄事も叶わず此まゝ船 中にて死すへしとなげきけれは《割書:其時|》仁兵衛■【悔ヵ】 【左丁】 言けるは我壱人か心にてかゝる難儀におふ 事【一字書損】せめては皆々のはらいせに今此海中に身 をしづめ死すへしと飛こまんとするけしき也 皆々是をとゝめ左様にあらすかゝる難儀におふ 事是皆々定業なりかならす入水する事無用 也といさめける扨もいつ陸地に着事やら知ね はとかく喰物 徒(ツ)きざる様にと是より至極のけん やくに也水一斗に米二升いれてかゆにだき廿人之