翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

唐泊リ孫七物語 - 翻刻

唐泊リ孫七物語 - ページ 16

ページ: 16

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【右丁】 みなれぬ草木はへ茂りけり此地に元舟を乗 すて橋舟に衣類小道具積うつし南の方こ ぎ廻る此六七日は一向喰事にたへ労れ入たる事 なれは漕手もはか〴〵しく押も得ず少し の向ふ風に吹戻されて又弐里計戻されける 扨また左つ【辰のヵ】方に海上十四五里計り向ふに地方 有此方へは追風なるゆへ橋舟を是え打向て 風と潮とに任せて行けるに思ひ之外早く浜辺に 【左丁】 着にけり扨浅辺にはまゆみのことく成る木海中 よりはへ茂り岩はそひへて見れぬ草木有り 葛はびこりて綱を引たる如く也爰ゐはいかな る国か嶋か人家も見へす此地にて廿人一同に 死すへしと衣服(イフク)をあらため守り袋紙入迄 懐中し浜辺上り石をひろいまくらとして皆々 爰に伏しにけるはあはれなる事ともなり此所を 後に聞ば南天竺之内にてほろねをと言国