翻刻
【右丁】
也かゝる所え国人共いかゞして知りたりけん
追々に集り来類人の形ち頭の毛は赤くろほ
つ【らほつ= 螺髪】の如く也皆く【々】ちぐ【ゞ】み有なり或は異風の笠
を着たる者もあり腰には毛皮をまとい弓を持矢
を手携或は鉄炮をはなち鑓鉾のこときなる物を
持其人数三百人計り也 我(ワレ)々是を見て飢死
するより猶又いかなるうきめに出ふ事かと
手足もかなわす労れ入たる事なれはいかん
【左丁】
ともする事かなわす其まゝに伏居て数大勢
の中より十四五人我々に近着物をいへともわからす
大勢元船に打乗て衣類諸道具を事如く取
にけにける有様は口惜くもまた恐ろしけれ。日も
暮に及ひけれはいつくへか行けん壱人もなく皆帰
りけり斯日暮ても爰をうごかす打伏居たり
しが其夜戌の刻かと思ふ頃松火燈し異形
之者四五十人来り鉄炮をならし我々に近寄