翻刻
【右丁】
ねたる廻りを取かこみ肩先を鑓にて突も
有脇腹を■【を=衍字ヵ】突も有り然れとも身には少し
も通らす是は皆さや口突おとろかすと見へ
たり我々口おしくは思得共七日此方喰事
にたへ湯水さへのまざれば心も遠くきも労れ
手足も力あらざれ壱人としてをき上る者
もなかりけり扨夫より我々が着たる衣類紙入
守袋まてこと〴〵く引たくり元船に残し
【左丁】
置たるとんさを取来り是を我々に打着せ砂を
けかけて帰りけり無念とは思得共せん方
なくいかなる悪摩外道国に来りし事そと悔
なく【からヵ】口々に念仏して其夜をそこにて明しけり
夜のほの〳〵と横雲に日の出る方を東とさとり打
詠【眺の間違いヵ】め山上を見上げれは木々覆茂り麓にも栗の
様なるみ有ルさすが命のおしくてや有けんは
いよりて手にちきり つゝ(スス)喰けるに其味たまふて少し