翻刻
【右丁】
弐人共に中々おどる気はなけれとも又思
ひ直して是悲なくも口から出次第のう
たをうたいておどりけれは日本人を見ると
て入替り追出し芝居にことならず其後
は弐人をかごにのせて在々所々を連廻り
食事も食頃にして酒なども呑せて置。けに
斯て其年はそらろくの内にて小き湊にて
酉の年を取翌戌の年に此所の正月の祝
【左丁】
儀を見たり年の餅と見へて餅米にいもをまぜ
白きは白砂糖をつきませ黒きは黒砂とふ
をつきまぜて平めになし角(カク)に切なとして年
の始をことふくとぞ見へたり時に今の弐人
残りし者ともは幸五郎孫七といへり孫七幼少
より筑前国太宰府天満宮を信仰(シンコヲ)しけるか
別して此度異国に流されしより身命を投
打て祈願し少しの間おこたる事なし然るに