翻刻
【右丁】
とあきらめ更におとろくこゝろなかりけり然
れ共日本人の首は用ひざるか又は神国に生
れし者ゆへケ様の摩道なる事には首を
切ざるか氏神の加護か同船にて来りし弐人の
女は替首の為に買置ぬと見へし■■【か共ヵ】我々弐
人は買人なくてや有けんしばらく日数有
て元の舟に打乗らせて元来りし所の。そらろく
の湊に帰りぬはじめ滞留せし家を此弐人
【左丁】
を置薪をこり水をくませなどさせて三月
計りも置けるが其内近所の町に懐入有を
聞しかは孫七是を見物す先嫁と同様子女
三人一トならひに歩行其さま左右の肩をぬが
せ顔には白 粉(コ)をぬり背なしより両の腕先まて
匂ひよき生花を何にて付しかあき所もなきやう
にひつゝけちやうど日本ては四月八日しやかの
花堂のことく也むねに乳をかくす為か色よき